浦幌町立博物館

2017年11月20日 (月)

新聞記事の保存方法で悩む

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これは浦幌町立博物館の資料原簿保存用キャビネットである。なかには収蔵資料の細かい情報を記録した原簿(資料カード)が収められている。

 

 

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このうち、近年顕著に増加しているのが、新聞記事のカード。当館では毎日の北海道新聞(夕刊含む)と十勝毎日新聞の記事をチェックし、浦幌や博物館業界に関係する記事、歴史や自然史に関する特に重要な記事などを切り抜き、カードに貼って保存している。

 

町の予算が付かないので、新聞は学芸員が私費で購読しているのがつらいところ。もともと購読している全国紙の方の毎日新聞や日本共産党機関紙の赤旗と共に、合計で毎月1万円近くなる新聞代の出費は苦しい。が、いま問題としているのはその事ではない。
 

 

学芸員がチェックした記事は、ボランティアさんが切り抜き、カードに整理してくれる。これが近年、その数が増してきて、キャビネットが足りなくなってきているのである。このままでは、たとえ予算が付いて1棚増設したところで、すぐに満杯になってしまう。切り抜きをこのまま続けるか?続けるにしてもカード方式をやめるか?そろそろ決断が迫られているように思っている。これが悩みどころなのだ。

 

 

そもそも、新聞記事をひとつずつカードに貼って保存する方法が必要かどうか?

将来に渡っての保存や活用を考えると、スクラップブックにまとめる方法に比べて、カード方式は確かに良い。スクラップブック方式は、あとあと使おうと考えるときに意外と不便で、特にコピーやスキャン、さらには遡及(必要な記事を探す)がしづらい。

 

だが、デジタルアーカイブが一般的になってきた今日、果たして博物館で「新聞記事の本物」を保存しておく事が必要なのか?という問題がある。もちろん、重大記事は資料として実物を保存する意義があるが、例えば毎年のお祭りとかスポーツ大会とか、町に関するあらゆる記事の実物を全て切り抜いて保存しておく必然性は、現代ではもう無いかもしれない。

 

 

十勝毎日新聞には記事データベースが(有料だが)存在し、帯広市図書館などでも検索が可能となっている。必要な時に検索をし、その記事を実物なり縮刷版なりからデジタルで印刷するという方法は、現代ではむしろスタンダードな利用方法だろう(一方で、北海道新聞については少し事情が異なる。浦幌は「十勝版」だが、こうした地方版の紙面というのは意外に保存されておらず、遡ろうとしても案外難しいからである。そう考えると、十勝毎日新聞の収集をやめて、北海道新聞十勝版のみに絞るというのもひとつの選択肢ではあるかもしれない)。

 

 

ただ、浦幌では図書館でも新聞は永久保存しない。書庫の関係から、期限を決めて古いものから廃棄するのである。なので、町に関する記事を保存するのに博物館でカードにし続けてきたのだろう。実際、役場や町民から、過去の新聞記事に関する問い合わせが毎年何件か存在する。

 

しかし、このままでは増大するカードに、キャビネットもスペースも追いついていかないだろうと思う(その分のスペースを新聞以外の資料原簿の保存に活用した方が良い気もする)。

 

 

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なかなか切り抜きとカード廃止を決断できない理由はもうひとつある。

 

新聞の切り抜き保存をやめる代替方法のひとつとして、記事をスキャンしてデジタル化し、カードではなく上質紙に印刷して綴じるという方法がある。かなりのスペース節約になるし、検索も容易になるだろう。

 

だが、問題はその作業を誰がやるかである。前述のとおり、現在、新聞記事の整理はボランティアの方が担当されている。しかし、現在のボランティアさんはパソコンの操作ができない。ご高齢の方が多く、そもそもそうした機器の操作に不慣れで、いまから覚えて頂くのはとても申し訳なくて出来ないと考えている。

 

さらに、これは当館独自の重大な欠点なのだが、なんと当館にはいまのところ独自のコピー機やスキャナーが無い。職員が隣接する教育委員会の事務室へ立ち入ってこれらの作業をすることになるので、デジタル化の過程の作業は、結局、学芸員がするしかないのである。

 

これがかなりの負担である事は想像に難くなく、継続性を考えると悩んでしまうのである。ボランティアさん自身がデジタル化作業を担えれば、かなり作業は進むが、現状は切り抜きやカード貼り、カード書きといったアナログ作業しかお願いする事ができないからである。

 

さあ、これからどうするか。頭の痛い問題である。

 

 

 

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2017年10月 9日 (月)

博物館資料のための書類を博物館資料にする

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 最近、3ヶ所に分散していた外収蔵庫を、新たに旧吉野小学校を活用した新収蔵庫へ1本化すべく、資料の引っ越しに追われている。ようやく旧郷土博物館は、ほぼ必要な資料は空になった。
 
 写真はその旧郷土博物館に残っていた、当時の資料寄贈書類と備品シール。いわば、博物館に資料を受け入れるための書類。今日はこれを博物館資料として登録する。資料のための資料とも言うべき書類も、時代を経るとそれ自体が資料となる。
 
 

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2017年2月11日 (土)

今年も卒業論文大発表会を開催

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 今年も卒業論文大発表会「浦幌のヒグマこんなに調べました!」を開催した。9名の大学生、大学院生に浦幌まで足を運んでいただき、自分達の研究成果を地域や関係の方々の前で発表するもの。最後に全体講評として、酪農学園大学の佐藤喜和教授からコメントをもらう。
 大多数が酪農学園大学野生動物生態学研究室の学生で、今年はほかに帯広畜産大学の大学院生の方にもご登壇いただいた。会場には地元浦幌の農業者のほか、さまざまな市町村から狩猟者や林業者、研究者、行政関係者の方々にも足を運んでいただき、盛況のうちに終えることができた。
 
 地域にさまざまな研究者に来て頂く場をつくると共に、その研究者の成果を地元に直接フィードバックし、地域の人達に自分達の町が学術的にどんな貢献ができているのかを知ってもらうことが大きな目的である。今後も続けていきたい行事のひとつである。
 
 

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2017年2月10日 (金)

ひなまつりモードにはいる

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ボランティアさんの協力を得て、今年も常設展示室内に「ひな人形」を設置。今年は昨年とは異なる段飾りが2セット出ており、合計数も1セット多い。
そのほか、旧郷土博物館から降ろしてきた展示ケースを使って、ひなまつりのお菓子の展示コーナーもつくった。もっとも、本当にヒシの粉の入ったひし餅は入手できなかったが、仕方が無い。
 
 
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朝の尺別海岸を行く釧路行き2521D。
2月9日の尺別。
 
「尺別駅を勝手に支援する会」というサイトをつくり、今後、尺別関係は別に発信することにした。ほそぼそと駅のアピールをする。
https://twitter.com/SHAKUBETSU (ツイッター)
 

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2017年1月26日 (木)

ことしも卒業論文大発表会やります

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 今年もヒグマを研究する大学生・大学院生を浦幌へ招き、卒業論文大発表会をしてもらうことになった。2月11日(土)の午後、博物館2階の視聴覚ホールで開催される。大半が酪農学園大学の学生で、一部、帯広畜産大学(岐阜大学連合大学院)の大学院生と酪農学園大学大学院の大学院生が発表する。
 
 大学と博物館は、もっと距離が縮まって良い。本当は勉強会のような場をもっとたくさん設けたいのだが、現状ではなかなか難しい。そんななか、夏の間、町内の「ベース」に交代で寝泊まりしながら白糠丘陵のヒグマを調査して歩いている学生たちは、博物館にとっても大きな財産である。昨年はたくさんの方が来場し、学生たちに盛んに質問や意見を出していたが、今年もまた、熱い議論になることを期待したい。
 
 
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 今夜の尺別。
 尺別駅2番ホームに立つレピーター(列車接近反応表示)。信号や踏切など、多くの灯化がLED化されるなか、電球のポッとした光にむしろ温かみを感じる。
 
 

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2017年1月25日 (水)

お金の寄贈を受けた!

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 お金の寄贈を受けた!
 と言っても、現代のお金では無く古札と古銭である。
 50銭や1円のお札に混じって、旧ソ連の紙幣らしいものが混じっている(一番下)。
 
 
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 こちらは硬貨。
 いろいろな種類があり、全部分類して調べるのに少々時間がかかりそうなので、これは全部ひっくるめて同じ資料番号で登録した。あとで枝番を振るべきかどうか思案中だが、仮に振った場合、資料にどうやって番号を書き込めば良いだろう。やはり面相筆でポスターカラーか。かなり小さい硬貨もあるのだが・・・。
 とりあえず時間のあるときにまずは資料を集めて、それぞれの硬貨の種類や使用年代を特定しなければと考えている。
 
 
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 今夜の尺別。写真は2532Dとの交換待ちをする2531D。
 今朝も冷え込み、浦幌は氷点下22度まで下がった。今夜の尺別も既に15度まで下がっている。明日の朝も厳しい冷え込みだろう。
 それでも凍てつく夜の方が凜とした気持ちになるし、星空も美しい。やはり北海道の冬は、生暖かい感じよりも凍てつくくらいが良い気がするが、列車の二重窓を抜けて冷気が漂うのは少し困る。
 
 

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2017年1月17日 (火)

冬休みこども博物館が終わる

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「シカのかお、リスのかお、あなたが見たのはどんな『かお』?」で講師を務める帯広百年記念館の大熊学芸調査員
 
 
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「化石レプリカづくり」で講師を務める足寄動物化石博物館の新村学芸員
 
 
 「冬休みこども博物館」の事業が終了した。「プラバンちょうちょづくり」「シカのかおリスのかお」は帯広百年記念館に、「化石レプリカづくり」は足寄動物化石博物館に協力をお願いし、どちらも盛況のうちに終了した。
 
 このように、当館の「こども博物館事業」は、近隣各館の協力を仰いで実施している。私が赴任する前からそうだったことによる(こども博物館という名称は昨年から使用)のだが、私自身が子供向けを意識した事業に特段取り組んでいないことも大きい。
 
 実際のところ、私は子供向けの新規プログラムの作成をしておらず、当面その予定も無い。そうも言っていられないのだが、いまひとつ乗り気になれないのは、特に地方へ行くと博物館などの社会教育施設は子供向けの事業をするところという目で見られていること、そして図書館や公民館など他施設が既にいろいろとやっていて、このうえ博物館まで乗っかると子供の奪い合いになるのではないかと思うからである。
 
 一方で、帯広百年記念館も足寄動物化石博物館も、優れた子供向けプログラムを用意している。必要なときはこうした館の協力を仰ぐほか、町内では化石堀りやウチダザリガニなど野外巡検で子供向けの行事プログラムがあるので、その組み合わせで対応しつつ、そのうち館独自の新規メニューを何か考えようと思っている。
 
 ただ、私自身これまで子供向けのプログラムに力を注いで来なかったので、かなり研究が必要である。そこで、他館の事業を招いたり自身が見学に行ったりして、初歩的なことから勉強し直しているのが現状である。実際、こうしてお招きして拝見する各館のプログラムはよく練られており、いつも感心させられる。
 
 

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2017年1月11日 (水)

トースターが発明されて107年

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冬休みこども博物館事業が始まった。第1弾は「ちょうちょ展」関連企画である「プラバンちょうちょづくり」。私も見よう見まねでキアゲハ(のようなもの)をつくってみたが、別に実際のチョウをつくらなくても良い。むしろ想像たくましく色をつけ、名前もつけてラベルを書く、という面が重視されていて、参加したこどもたちは熱心にオリジナルのチョウをつくっていた。
 
 
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 参加した子どもがつくったオリジナルのチョウ。 
 
 
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 プラバンに描いたチョウをトースターに入れる。
 
 
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 熱を受けてプラバンが縮む。
 
 
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 小さく厚くなってチョウが出てくる。
 トースターの中で一気に縮む様子が面白く、子供達も熱心に観察しながら喜んでいた。ちなみに、私はトースターを持っていなかったので、この機会に購入した。この講座の直前に箱から出したので、プラバンちょうちょがこのトースターの第1号作品である。
 
 トースターは1910年、かのトーマス・エジソンが電力の普及のために開発したとされる。それから107年の時を経て、恐らくエジソンが想像もしなかった分野でも、トースターは広く活躍している。それを実感できた講座でもある。
 
 
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 夕方からは大人向けに、帯広百年記念館の伊藤彩子学芸員を講師に講演会「ものがたりの昆虫」を開催した。
 いつも感じることだが、伊藤学芸員の展示パネルやプレゼンは、どれも造りが丁寧で、老若男女にわかりやすい工夫がされている。私がつくるスライドは、文字通りモノクロフィルムからジアゾ転写していた時代からほとんど進歩していない簡素なもので、こうした機会に勉強させてもらう。こども博物館も講演会も、実は私のための事業でもある。
 
 

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2016年12月28日 (水)

博物館だよりに関する課題2点

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 『浦幌町立博物館だより』の1月号が発行された。と、ひとごとのように言っているが、もちろん私自身が編集・発行している。
 
 今年の5月号から、博物館だよりの体裁を大きく変更した。従来は臨時職員さんに作ってもらっていた、いわゆる行事お知らせのチラシであった。だが、せっかくの月刊紙媒体なのだから、行事のお知らせだけではもったいないと思い、毎号、ちょっとした記事を1面に書き、裏面を行事案内とするニュースレター形式のものに変更したのであった。いまは私自身が執筆・編集を行い、印刷や発送を臨時職員さんにお願いしている。
 
 現在、広報うらほろに毎月「博物館の窓」というコラムを連載。これは昨年、浦幌町立博物館へ赴任したときから続けている。そして今年からこの『博物館だより』を発行。なんだかんだで、毎月2媒体にコラムを書いていることになる。
 
 こういうのを書き続けること自体は苦にならないのだが、問題がふたつある。
 
 ひとつはこうしたコラムがどの程度読まれているのか?また、どうやって読まれるように発信していけば良いのか、よくわからないという問題だ。
 
 現在、『博物館だより』は町内の公共施設や店舗などに置かせてもらっているほか、近隣町村の図書館、帯広市内と釧路市内の博物館・図書館および北海道博物館で毎月配付している。町内の配達は、ボランティアさんの手をお借りして実施している。が、果たしてこれでいったいどれくらいの人が手に取っているのかがよくわからないのである。労力と時間とかけて、こうした配付を続けることに意味のあることなのかどうか、数字として実感できない点が課題に思う。
 
 もうひとつは私自身の問題で、毎月のコラムに慣れてしまうと、外の媒体になかなか文章を書かなくなってしまうことだ。実際、帯広百年記念館に勤務していたときに比べると、無意識的に外媒体への投稿が減っている。これはまずいことで、自前の広報媒体だけでなく、来年はもっと積極的に外のメディアに投稿するように心がける必要がある。
 
 今年、学芸職員部会がWEBで連載していたコラムが、1冊の本にまとまり、出版された。少しずつでも書き物が溜まっていったら、やはりそれはWEBに留めず出版してカタチとして残した方が良いと思っている。「博物館の窓」や『浦幌町立博物館だより』の記事も、いつしか本にまとめられたら良いと思っているが、さあ、いつまで続けることができるでしょうか?
 
 
 

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2016年9月24日 (土)

はじめての古文書講座

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 9月19日は「敬老の日」。この日、北海道立文書館との共催で「古文書教室」を開催した。古文書に関する講座は、当館では初めての試みらしい。20名くらいの方が浦幌、帯広、本別、釧路、遠くは北広島からも足を運んで頂いた。会場が狭かったなと、これは反省点である。
 
 
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 講師は2名。まずは北海道立文書館の山田さん。古文書の構造、解読のための基本、ポイントなど、初心者を対象に細かく解説いただいた。
 
 
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 講師2人目は帯広百年記念館の大和田さん。晩成社の依田勉三の備忘録などを用いて、古文書からどのような事がわかるのか?を、具体的に読み解きながら解説いただいた。
 
 道立文書館の古文書講座は、文書館から1名、地元から1名、それぞれ講師を出すスタイルで、毎年各地で開催しているらしい。なかなか好評で、できれば今回の講座を叩き台に、地域史料の勉強会を定期的に開催していければと思う。
 
 

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