自然史

2018年1月27日 (土)

植物調査総まとめ2017

2017

 先日の夜学講座で、2017年度の浦幌町立博物館植物調査の総まとめ会を行なった。昨年は月例調査観察会「豊北植物調査会」のほか、フラワーソンなどもあり、さまざまな形で植物の調査を実施した。
 
 グラフは3年目を終えた豊北植物調査会での、毎月の記録植物数の変化。赤線が2017年度、緑が2016年度、青が2015年度である(ただし、2015年度は調査期間が短く6〜10月まで)。
 
 グラフを見ると、3年間で確認種数が増えているのがわかる。もちろんこれは、参加者の植物を観察する力が上達している証拠で、月例で調査観察会を開催することの意義があらわれているとも言える。
 
 具体的に昨年増えた植物群はなにかというと、タデ科やアブラナ科などの小さな雑草類が加わってきたことが大きい。いわゆる「お花」から、さまざまな「植物」に目が広がってきているのがわかる。また、私も苦手なセリ科なども少しずつ丁寧に同定するようになってきた。
 
 加えて、果実の時期でも見分けがつくようになってきたことが大きい。この調査はフェノロジー調査なので、蕾、花、果実のいずれかの段階を記録することにしており、従来は花の時期しか種類を識別できなかったものも、回を追う毎に果実の姿でも見分けられるようになってきたので、8月や9月の確認数が増えた面がある。
 
 今後はイネ科やカヤツリグサ科など、上級の植物も少しずつ記録できるようにしていけると良い。また、課題としては今は目視調査のみで、フロラの記録としての証拠標本採集が追いつけていないから、今年の夏は標本を集めることも目標としたいと考えている。
 
 

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2017年8月 7日 (月)

豊北が真っ黄色

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 8月5日(土)の豊北海岸。一角が真っ黄色になっている。メマツヨイグサの大繁茂だ。
 
 
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 ここは従来、ウシノケグサの草原だった。だが、ここ数年の漂着木処理で土場のようになり、その結果、この夏いきなりメマツヨイグサが一斉に開花して真っ黄色になったのである。
 今後、漂着木処理が今のような進め方で続くと、原植生が痛んだ跡にこのような外来種植生が繁茂する恐れがある。
 
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 メマツヨイグサに埋もれるように咲いていたミヤコグサ。牧草のバーズッフットトレフォイルは外来種のセイヨウミヤコグサで、こちらは日本在来のミヤコグサである。豊北では初めて確認した。かなり数が減っていると思う。
 
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 いつのメジバナが咲いている場所は荒らされてしまったようで今年は咲かなかった。白花個体が毎年咲いていたので残年である。
 しかし、豊北の別の区域では、多数のネジバナが咲いていた。ツイッターで全国調査の進む「#ネジバナリレー2017夏」「#ねじばなネットワーク」によると、釧路では8月3日に開花が確認されていた。恐らくその頃に豊北でも咲いたのであろう。ようやく今年の開花確認を送る事ができ、一安心である。
 
 

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2017年7月 3日 (月)

町内の林道に咲く植物

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 沢沿いに立つオオヤマオダマキ。20年くらい前に初めて浦幌の山を歩いたとき、スラリと立つ渋い色をしたこのオダマキが多くて「格好良い植物だなあ」と思った覚えがある。
 
 
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 ギンリョウソウ。浦幌では1個体しか見ることができなかったが、今年は足寄の山中でやたら多くのギンリョウソウを見た。
 
 
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 ハルカラマツ。
 
 
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 托葉が裂ける。これに気づかず、カラマツソウやエゾカラマツをカラマツソウと誤認する場合がある。果実の季節になり、カラマツソウ類をよく見ていると、どれもコンペイトウ形の果実で、大半がエゾカラマツ。中にハルカラマツが混ざっている。そして普通のカラマツソウはほとんど無い。
 
 十勝では帯広の方へ行くと普通のカラマツソウが多い。どういう分布実態をしているのか、きちんと調べた方が良いなと思っている。
 
 

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2017年6月16日 (金)

フラワーソンの下見

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 浦幌は林業の町で、今日もあちこちで木を切る音が聞こえる。明日から始まるフラワーソンの下見で、稲穂林道の様子を見に行ったところ、ここでも人工林を伐採する作業が進行していた。
 
 
 人工林の林床は、たしかに種類は少ないものの、意外にあなどれなくて、スポット的に面白い場所がある。ここはカラマツ林の林床に直線状に出来た開けた空間だが、この直線の光に誘われて、びっしりとスミレが育っている。もう花は終わり、みんな果実になっていた。
 
 
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 林縁では真っ白いエゾノタチツボスミレや、エダウチチゴユリ、ナンテンハギなども見られる。森林と草原が入り交じったような人工林も、植物観察のポイントとして捨てがたい。
 
 

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2017年5月23日 (火)

エゾオオサクラソウからクリンソウへ

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開花期を迎えているエゾオオサクラソウ。
 
 
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そうかと思うと、既にクリンソウも咲き始めている。季節の移り変わりが早い。なかなかついて行けていない。
 
 
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スミレ類もいろいろと咲き始めた。
 
 

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2017年5月12日 (金)

イヌナズナが多い

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 浦幌は春になるとイヌナズナが一斉に咲く。まだ草花がほとんど出ていない時期から、町中の歩道のスキマとかに黄色い花が咲く。特に多いのが役場の花壇で、写真のように真っ黄色になる。
 
 これはこれできれいで目立つので「役場の黄色い花はなに?」という問い合わせがよく来るようになった。イヌナズナだとは思っていたが、採集してあらためてきちんと同定してみる。やはりイヌナズナであった。
 
 ところで、帯広でもイヌナズナはあったが、限られた場所にしか無かった。そもそも道東はもともとそんなに無かったらしい。近年増えているということなのか?日本在来種だが、ユーラシアに広く分布しており、いま目にしている個体は外来個体の可能性が高い気がする。
 
 このあたりもDNAを調べたりすればわかるのだろう。誰かに頼んで調べてもらおうか。
 
 

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2017年4月12日 (水)

エゾエンゴサクの葉

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 浦幌町内で咲くエゾエンゴサク。
 エゾエンゴサクの葉の形は変異が大きいとは昔から聞いていたが、道東は特にその差が激しいと思う。白糠丘陵から釧路地方にかけて、写真のように細かく切れ込みの入った葉が多く見られる。これはまだ穏やかな方で、完全に葉が細く避けてしまっているものも見られる。
 
 帯広百年記念館の収蔵庫には、かつて多和ききょう氏、多和かつら氏が採集した、同じ日に同じ本別公園内で集めた、エゾエンゴサクの葉の変異コレクションがある。あれは見事で、いつかまた展示したいと思っている。
 
 自分も同じようなコレクションを浦幌で作ってみようかとも思う。
 
 

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2016年10月10日 (月)

10月1日の豊北

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 10月1日の豊北植物調査会。雲の無い快晴で、心地よい海岸散策ができた。調査中、ちょうど真上をシジュウカラガンの編隊が通過していった。
 
 
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 花から果実へと移行中のキク科群落。ハチジョウナを主体に、オニノゲシ、アキノノゲシ、タイワンハチジョウナ、アイノゲシ、ヤナギタンポポ、オグルマなどが混成している。
 この時期の海岸は、このグループの同定に頭を悩ます。オニノゲシやハチジョウナの類に、紛らわしく難しい形状の個体が多いためだ。観察会中はとりあえずの名前で記録し、後日標本を採集して詳しく同定する事にする。
 
 
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 ハチジョウナ。このあたりのものは比較的素直な形態をしていてホッとする。
 
 
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 ヤナギタンポポと思われる。ちょっと矮性な感じ。
 
 
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 まだ咲いているハマニガナ。
 
 
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 ミヤマアキノキリンソウ。これも形状に変異が多い。ここのミヤマアキノキリンソウは、内陸の防風林などで見るものと形状が異なり、高山帯で「コガネギク」などと呼ばれるものに近い。
 
 
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 ウンランはだいぶ終わった感じだが、いくらか開花中の個体をみつけた。
 
 
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 こちらは大正時代に日本へ入ったとされるホソバウンラン。直別や厚内の駅構内に生えているが、豊北海岸でも1箇所まとまって生えているところがあった。
 
 
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 ハマナスもしぶとく開花個体がある。
 
 
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 真っ赤に実るコケモモ。
 
 次の11月が今年の最終調査。残念ながら「うらほろ教育の日」とかいう、よくわからない行事の手伝いに動員されるため、第1土曜日ではなく「文化の日」に調査日を移さなければならなくなった。迷惑な話である。
 
 

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2016年8月26日 (金)

砂浜のキノコはナヨタケ属だった

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今年は雨が多いせいか、あちこちでキノコの姿をよく見る気がする。
以前に豊北海岸の砂浜でニョキニョキと生えているのを見かけたキノコが気になっていた。私はキノコの同定は全くできないので、乾燥標本にして札幌市の北海道大学総合博物館へ送り、菌類標本庫SAPAの管理に携わっている、小林孝人研究員にみていただいた。
先般、標本と共に同定結果が戻ってきて、Psathyrella sp、(ナヨタケ属)の一種だとわかった。
 
 
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 これは、6月に撮影した豊北海岸での写真。生えているときはこんな感じ。ハマニンニクやハマニガナの周囲に点々といくつも生えていた。
 では、このナヨタケとはなにか?を知る為に、石狩海岸で海浜性キノコを調査されている人達の書かれた『石狩砂丘と砂浜のきのこ』という本を取り寄せて調べてみた。これは、札幌市中央図書館の蔵書を、相互貸借制度により、浦幌町立図書館経由でお借りした。
 
 すると、ナヨタケ属は種の同定がきわめて難しく、分類自体がさまざまな課題を抱えているらしい事がわかった。だからsp.での回答となったのだろう。種類はまだあるそうなので、今後の海岸歩きの注目ポイントがひとつ増えた。
 
 なお、今回のキノコ標本を当館で収蔵するかどうかはかなり悩んだが、やめる事にした。きちんと管理・活用ができる専門の標本庫へ入れた方が良い。採集情報を紀要で報告した後、せっかく返送してもらったのだが、再び北海道大学総合博物館へ送り、菌類標本庫(SAPA)へ納める事にする。
 
 なお、同定にあたった小林研究員と、石狩浜の文献について教えてくれた石狩自然誌研究会のメンバーには、大変お世話になりました。ありがとうございます。
 
 
 

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2016年7月18日 (月)

エゾライチョウの交通事故死体を拾う

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 先日、企画展の関係で町内の神社調査をしていた際に、町の最北部にあたる川上地区の国道274号線路上に、エゾライチョウの交通事故死体があるのを認めた。そこで持ち帰って冷凍の後、帯広百年記念館へ納めた。
 
 鳥の死体は仮剥製にして博物館で保存し、分布の記録とする他、DNAサンプル、形態測定のサンプルなど、さまざまな利用可能性を秘めている。浦幌町立博物館では処理ができないため、拾得した動物死体は帯広百年記念館へ納めており、今回も既に取得していたスズメ、キビタキの死体と共に同館へ納めた。
 
 ところで、エゾライチョウは狩猟鳥である。美味であるという。狩猟者にきっと人気の鳥なのだろうし、私もいちど食してみたいなあと思うことがある。
 
 ただ、その現状が気になる。確かに浦幌の山では結構みかけるが、それがどの町村でも通用するものなのかどうか。北海道のレッドリストでは「稀少種」に指定され、環境省のレッドリストでは「情報不足」とされている。情報不足という事は、絶滅の危険性が判定できるほどデータが無いという事だろう。そうしたあやふやな種を、いつまでも狩猟鳥にしておいて良いのか疑問である。「情報不足」だからこそ、狩猟対象からは外すべきではないかと思うが・・・
 
 かつて、北海道のホームページに「エゾライチョウの食し方」が掲載されていて問題になった事があった。同じ北海道のホームページの別の部署には、レッドリストに「稀少種」として掲載されているのだから、批判されて当然だろう。狩猟という文化を大切にしたい気持ちはわかるが、こと生物多様性に関する限り、「疑わしきは狩猟せず」が鉄則ではないだろうか。
 
 

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