自然史

2018年3月15日 (木)

『北方山草』第35号の発刊について

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北海道の植物愛好会のひとつ北方山草会から、会誌『北方山草』第35号が発刊された。

本号の小特集は「キンポウゲ科」。
本誌のご購読は、事務局の五十嵐博さん宛にメールで申し込み、到着後、郵便局から同封の振込用紙にて、郵便振替で支払う。
 
目次などは下記のとおり。
 
申込み先(北方山草会事務局 五十嵐博)
E-mail: move-i@nifty.com
北方山草会のサイト http://hopposansokai.web.fc2.com
 
価格:2,500円+送料300円=2,800円
 
【誌名】北方山草
【巻号】第35号
【発行】北方山草会
【発行日】2018年3月11日
【ISSN】 1347-4006
【目次】

写真によせて
扉 札幌市                    梅沢  俊……3
       札幌市  本多 丘人
キンポウゲ科の咲くところ   釧路市  佐藤照雄
キンポウゲ科いろいろ     旭川市  舟橋 健……4
アネモネ属6変化       江別市  大沼弘樹……5
                 函館市  酒井 信……6
                 江別市  中川博之
 イトキンポウゲ(裏表紙)    斜里町  内田暁友……6

【小特集】
北海道のキンポウゲ類(キンポウゲ科):門田裕一……7
私の研究遍歴—キンポウゲ科の水生植物バイカモ類について:高橋英樹……13
オクトリカブトの北海道分布・その後:五十嵐博……19
クサボタン(キンポウゲ科)の北海道分布:五十嵐博……21
センニンソウ(キンポウゲ科)の北海道分布:五十嵐博……23
道内にもあったナガミノツルケマン:本多丘人……25
絶滅種ホソスゲがパソコンから発見される:藤田 玲……32
北海道における帰化植物ホソバヤハズエンドウ( マメ科) の記録:内田暁友・内田雪華……36
ハイハマボッスの新たな産地および生育環境について:山崎真実……39
イワミツバ(セリ科)の地下茎の分岐様式:佐藤広行 ほか5 名……45
カラフトモメンヅルとモメンヅル・2017 年の現状:五十嵐博……50
花めぐり湿っちめぐり2017:佐々木純一……53
マリモの和名考:蔡思薇・佐藤広行……59
阿寒摩周国立公園における西別岳の夏季の高山性植物の観察:細川音冶・佐藤広行……63
これがエダウチトクサ?:酒井 信……69
北海道大学総合博物館陸上植物標本庫(SAPS)におけるAPG 分類体系の導入方法とその経緯:
  吉中弘介・佐藤広行……70
北海道シダ植物相調査報告 3:武田千恵子……74
宮城沢川山道の植物相(予報):助野実樹郎……80
赤花型のクマノアシツメクサの記録(追加報告):小玉愛子……89

【コラム欄】
 (1)表紙の植物「キクザキイチゲ」:五十嵐 博…18
 (2)北海道大学総合博物館陸上植物標本庫(SAPS)への植物標本の寄贈の状況(報告):吉中弘介… 52
 (3)トウヒ(Picea)属の標本を落葉させずに作るには :新田紀敏… 68
花語草談室                       編集委員会……90
新刊紹介                         編集委員会……92
第36 号の原稿募集(投稿規定)    編集委員会……94
編集後記                         編集委員会……96
 

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2018年1月27日 (土)

植物調査総まとめ2017

2017

 先日の夜学講座で、2017年度の浦幌町立博物館植物調査の総まとめ会を行なった。昨年は月例調査観察会「豊北植物調査会」のほか、フラワーソンなどもあり、さまざまな形で植物の調査を実施した。
 
 グラフは3年目を終えた豊北植物調査会での、毎月の記録植物数の変化。赤線が2017年度、緑が2016年度、青が2015年度である(ただし、2015年度は調査期間が短く6〜10月まで)。
 
 グラフを見ると、3年間で確認種数が増えているのがわかる。もちろんこれは、参加者の植物を観察する力が上達している証拠で、月例で調査観察会を開催することの意義があらわれているとも言える。
 
 具体的に昨年増えた植物群はなにかというと、タデ科やアブラナ科などの小さな雑草類が加わってきたことが大きい。いわゆる「お花」から、さまざまな「植物」に目が広がってきているのがわかる。また、私も苦手なセリ科なども少しずつ丁寧に同定するようになってきた。
 
 加えて、果実の時期でも見分けがつくようになってきたことが大きい。この調査はフェノロジー調査なので、蕾、花、果実のいずれかの段階を記録することにしており、従来は花の時期しか種類を識別できなかったものも、回を追う毎に果実の姿でも見分けられるようになってきたので、8月や9月の確認数が増えた面がある。
 
 今後はイネ科やカヤツリグサ科など、上級の植物も少しずつ記録できるようにしていけると良い。また、課題としては今は目視調査のみで、フロラの記録としての証拠標本採集が追いつけていないから、今年の夏は標本を集めることも目標としたいと考えている。
 
 

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2017年8月 7日 (月)

豊北が真っ黄色

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 8月5日(土)の豊北海岸。一角が真っ黄色になっている。メマツヨイグサの大繁茂だ。
 
 
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 ここは従来、ウシノケグサの草原だった。だが、ここ数年の漂着木処理で土場のようになり、その結果、この夏いきなりメマツヨイグサが一斉に開花して真っ黄色になったのである。
 今後、漂着木処理が今のような進め方で続くと、原植生が痛んだ跡にこのような外来種植生が繁茂する恐れがある。
 
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 メマツヨイグサに埋もれるように咲いていたミヤコグサ。牧草のバーズッフットトレフォイルは外来種のセイヨウミヤコグサで、こちらは日本在来のミヤコグサである。豊北では初めて確認した。かなり数が減っていると思う。
 
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 いつのメジバナが咲いている場所は荒らされてしまったようで今年は咲かなかった。白花個体が毎年咲いていたので残年である。
 しかし、豊北の別の区域では、多数のネジバナが咲いていた。ツイッターで全国調査の進む「#ネジバナリレー2017夏」「#ねじばなネットワーク」によると、釧路では8月3日に開花が確認されていた。恐らくその頃に豊北でも咲いたのであろう。ようやく今年の開花確認を送る事ができ、一安心である。
 
 

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2017年7月 3日 (月)

町内の林道に咲く植物

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 沢沿いに立つオオヤマオダマキ。20年くらい前に初めて浦幌の山を歩いたとき、スラリと立つ渋い色をしたこのオダマキが多くて「格好良い植物だなあ」と思った覚えがある。
 
 
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 ギンリョウソウ。浦幌では1個体しか見ることができなかったが、今年は足寄の山中でやたら多くのギンリョウソウを見た。
 
 
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 ハルカラマツ。
 
 
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 托葉が裂ける。これに気づかず、カラマツソウやエゾカラマツをカラマツソウと誤認する場合がある。果実の季節になり、カラマツソウ類をよく見ていると、どれもコンペイトウ形の果実で、大半がエゾカラマツ。中にハルカラマツが混ざっている。そして普通のカラマツソウはほとんど無い。
 
 十勝では帯広の方へ行くと普通のカラマツソウが多い。どういう分布実態をしているのか、きちんと調べた方が良いなと思っている。
 
 

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2017年6月16日 (金)

フラワーソンの下見

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 浦幌は林業の町で、今日もあちこちで木を切る音が聞こえる。明日から始まるフラワーソンの下見で、稲穂林道の様子を見に行ったところ、ここでも人工林を伐採する作業が進行していた。
 
 
 人工林の林床は、たしかに種類は少ないものの、意外にあなどれなくて、スポット的に面白い場所がある。ここはカラマツ林の林床に直線状に出来た開けた空間だが、この直線の光に誘われて、びっしりとスミレが育っている。もう花は終わり、みんな果実になっていた。
 
 
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 林縁では真っ白いエゾノタチツボスミレや、エダウチチゴユリ、ナンテンハギなども見られる。森林と草原が入り交じったような人工林も、植物観察のポイントとして捨てがたい。
 
 

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2017年5月23日 (火)

エゾオオサクラソウからクリンソウへ

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開花期を迎えているエゾオオサクラソウ。
 
 
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そうかと思うと、既にクリンソウも咲き始めている。季節の移り変わりが早い。なかなかついて行けていない。
 
 
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スミレ類もいろいろと咲き始めた。
 
 

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2017年5月12日 (金)

イヌナズナが多い

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 浦幌は春になるとイヌナズナが一斉に咲く。まだ草花がほとんど出ていない時期から、町中の歩道のスキマとかに黄色い花が咲く。特に多いのが役場の花壇で、写真のように真っ黄色になる。
 
 これはこれできれいで目立つので「役場の黄色い花はなに?」という問い合わせがよく来るようになった。イヌナズナだとは思っていたが、採集してあらためてきちんと同定してみる。やはりイヌナズナであった。
 
 ところで、帯広でもイヌナズナはあったが、限られた場所にしか無かった。そもそも道東はもともとそんなに無かったらしい。近年増えているということなのか?日本在来種だが、ユーラシアに広く分布しており、いま目にしている個体は外来個体の可能性が高い気がする。
 
 このあたりもDNAを調べたりすればわかるのだろう。誰かに頼んで調べてもらおうか。
 
 

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2017年4月12日 (水)

エゾエンゴサクの葉

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 浦幌町内で咲くエゾエンゴサク。
 エゾエンゴサクの葉の形は変異が大きいとは昔から聞いていたが、道東は特にその差が激しいと思う。白糠丘陵から釧路地方にかけて、写真のように細かく切れ込みの入った葉が多く見られる。これはまだ穏やかな方で、完全に葉が細く避けてしまっているものも見られる。
 
 帯広百年記念館の収蔵庫には、かつて多和ききょう氏、多和かつら氏が採集した、同じ日に同じ本別公園内で集めた、エゾエンゴサクの葉の変異コレクションがある。あれは見事で、いつかまた展示したいと思っている。
 
 自分も同じようなコレクションを浦幌で作ってみようかとも思う。
 
 

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2016年10月10日 (月)

10月1日の豊北

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 10月1日の豊北植物調査会。雲の無い快晴で、心地よい海岸散策ができた。調査中、ちょうど真上をシジュウカラガンの編隊が通過していった。
 
 
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 花から果実へと移行中のキク科群落。ハチジョウナを主体に、オニノゲシ、アキノノゲシ、タイワンハチジョウナ、アイノゲシ、ヤナギタンポポ、オグルマなどが混成している。
 この時期の海岸は、このグループの同定に頭を悩ます。オニノゲシやハチジョウナの類に、紛らわしく難しい形状の個体が多いためだ。観察会中はとりあえずの名前で記録し、後日標本を採集して詳しく同定する事にする。
 
 
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 ハチジョウナ。このあたりのものは比較的素直な形態をしていてホッとする。
 
 
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 ヤナギタンポポと思われる。ちょっと矮性な感じ。
 
 
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 まだ咲いているハマニガナ。
 
 
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 ミヤマアキノキリンソウ。これも形状に変異が多い。ここのミヤマアキノキリンソウは、内陸の防風林などで見るものと形状が異なり、高山帯で「コガネギク」などと呼ばれるものに近い。
 
 
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 ウンランはだいぶ終わった感じだが、いくらか開花中の個体をみつけた。
 
 
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 こちらは大正時代に日本へ入ったとされるホソバウンラン。直別や厚内の駅構内に生えているが、豊北海岸でも1箇所まとまって生えているところがあった。
 
 
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 ハマナスもしぶとく開花個体がある。
 
 
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 真っ赤に実るコケモモ。
 
 次の11月が今年の最終調査。残念ながら「うらほろ教育の日」とかいう、よくわからない行事の手伝いに動員されるため、第1土曜日ではなく「文化の日」に調査日を移さなければならなくなった。迷惑な話である。
 
 

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2016年8月26日 (金)

砂浜のキノコはナヨタケ属だった

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今年は雨が多いせいか、あちこちでキノコの姿をよく見る気がする。
以前に豊北海岸の砂浜でニョキニョキと生えているのを見かけたキノコが気になっていた。私はキノコの同定は全くできないので、乾燥標本にして札幌市の北海道大学総合博物館へ送り、菌類標本庫SAPAの管理に携わっている、小林孝人研究員にみていただいた。
先般、標本と共に同定結果が戻ってきて、Psathyrella sp、(ナヨタケ属)の一種だとわかった。
 
 
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 これは、6月に撮影した豊北海岸での写真。生えているときはこんな感じ。ハマニンニクやハマニガナの周囲に点々といくつも生えていた。
 では、このナヨタケとはなにか?を知る為に、石狩海岸で海浜性キノコを調査されている人達の書かれた『石狩砂丘と砂浜のきのこ』という本を取り寄せて調べてみた。これは、札幌市中央図書館の蔵書を、相互貸借制度により、浦幌町立図書館経由でお借りした。
 
 すると、ナヨタケ属は種の同定がきわめて難しく、分類自体がさまざまな課題を抱えているらしい事がわかった。だからsp.での回答となったのだろう。種類はまだあるそうなので、今後の海岸歩きの注目ポイントがひとつ増えた。
 
 なお、今回のキノコ標本を当館で収蔵するかどうかはかなり悩んだが、やめる事にした。きちんと管理・活用ができる専門の標本庫へ入れた方が良い。採集情報を紀要で報告した後、せっかく返送してもらったのだが、再び北海道大学総合博物館へ送り、菌類標本庫(SAPA)へ納める事にする。
 
 なお、同定にあたった小林研究員と、石狩浜の文献について教えてくれた石狩自然誌研究会のメンバーには、大変お世話になりました。ありがとうございます。
 
 
 

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