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2017年9月12日 (火)

博物館情報・メディア論について

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 北海道教育大学旭川校での「博物館情報・メディア論」担当も5年を経過し、当初は手探りだった講義内容についても徐々に安定してきた。同時に、このあたりで講義内容の適切さを検証する必要があるだろうと感じている。

そこで、講義終了後、私が講義で題材としているテーマや試験問題についてSNS上で公開し、さまざまな方から意見をうかがった。頂いた意見や議論をもとに講義内容を再検討し、来年度の集中講義に活かしていきたい。

1.主要なテーマ(受講生に知っておいて欲しいこと)

  • 博物館が発信すべき情報の種類と内容
  • デジタルのメリットとデメリット
  • 学芸員とインターネット
  • アクセス権の保障
  • 知的財産権(著作権)」

2.教科書として西岡貞一・篠田謙一『博物館情報・メディア論』(放送大学教育振興会,  2013)を使用。試験は教科書から出題。

3.講義、パソコン室でのサイト見学や調査、博物館見学の3つを柱に4日間の集中講義で実施。

4.今年の試験問題は以下のとおりである。

 

<2017年度博物館情報・メディア論試験問題>

【問題】デジタル・メディアの5つの特性について説明せよ。

  →(解答)複製性、マルチメディア性、伝送性、低価格性、対話性。

 

【問題2】メタデータとドキュメンテーションについて説明せよ。

  →(解答)メタデータ:記述するためのデータで製作年、サイズ、素材などの資料情報。ドキュメンテーション:資料に関する情報を組織的に記録文書に残すこと。またはその文書。

 

【問題3】インタラクティブ・メディアとはどのようなものか?事例を挙げて説明せよ。

  →(解答)利用者の働きかけに応じて、映像や動作を変化させる機能を持つ、双方向性のあるメディア。シミュレータなど。

 

【問題4】博物館における「メディア」と「コンテンツ」の事例を3つ挙げよ。

→ (解答事例。:の左がメディアで右が対応するコンテンツ)パネル:解説文、ポスター:案内・告知メッセージ、Web:館の基本情報・告知、音声ガイド:解説ナレーション、大型ディスプレイ:解説映像、などなど。

 

【問題5】統合データベースのメリットとデメリットについて説明せよ。

→(解答)メリット:館の資料を種別に関わらず全て検索できるので便利。デメリット:元来、部門ごとに必要な登録内容が異なるため、網羅的に登録することにより空白の項目を多数含み容量に無駄が多くなってしまう。

 

【問題6】グローバルデータベースのうち、GBIFについて説明せよ。

→(解答)地球規模生物多様性情報機構が構築する、世界中の博物館標本などの生物情報を横断的に検索できるデータベース。世界中の誰もが生物多様性情報を自由に利用できるようなデータベースの構築が目指されている。

 

【問題7】文化財のデジタル化の過程について説明せよ。

→(解答)手順1)撮影・計測、手順2)A/D変換(アナログデータからデジタルデータへ)、手順3)記録・保存、手順4)調査・研究、手順5)修復・復元、手順6)D/A変換(デジタルデータからアナログデータへ)、手順7)表示・整形

 

【問題8】デジタル・アーカイヴとは何か?解説せよ。

→(解答)博物館資料や文化財をデジタルデータの形で記録・保存し、これをデータベース化することにより検索性を付与し、調査・研究や二次利用を可能にするための文化の保存・公開の手段。

 

【問題9】デジタル・アーカイヴを構築する意義を3点延べよ。

→(解答)1.資料の継続的保存・管理が容易になる。2.資料の検索性が向上する。3.博物館・美術館の活動成果の普及・公開が可能になる。

 ※ちなみに私が取り組む紀要の問題は2と3に関わってくるもので、講義中にも事例として紹介した。

 

【問題10】著作権はなぜ保護されなければならないのか?説明せよ。

→(解答)創作物の無断使用が横行すると、作者の創作意欲が著しく減退し、新たな創作物がつくられなくなる恐れがあり、それは将来に渡っての文化の発展・振興を著しく阻害することになるから。

 

【問題11】著作権法の定める「著作物」とは何か?法的にどのようなものと解釈され、具体的にはどのようなものが含まれるか?

→(解答)思想または感情の創作的な表現であって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの。具体的には小説、絵画、彫刻、演劇、映画などなど。

 

【問題12】博物館が所蔵作品を展示やポスターなどに利用する際に、著作権の権利処理の観点からチェックすべき項目が4点ある。その4項目について解説せよ。

→(解答)1.その資料は著作権法上の著作物に該当するか? 該当する → 2.利用行為が著作権、著作者人格権等に抵触する行為か? 抵触する→ 3.著作権法の「権利制限規定」に該当するか? 該当しない →4.著作権保護期間に含まれるか?含まれる → 資料の「著作権者」が誰かを確認し、その人(法人)を探し出して、許諾手続きをとりましょう。

 

【問題13】次の著作権・著作者人格権について説明しなさい。1.口述権、2.公衆送信権、3.氏名表示権

→(回答)1:著作物を朗読その他の方法により口頭で公に伝達する行為。2.著作物を公衆送信する権利。また公衆送信される著作物について受信装置を用いて公に伝達する権利。3.著作物を公衆に提供または提示する際に、実名または変名を著作者名として表示する権利、または著作者名を表示しない権利(すなわちどの名前を使うか?またはそのそも名前を表示するかどうか?を選ぶ権利)。

 

以上、博物館情報・メディア論の試験問題13問でした。この内容に的を絞り、4日間で博物館見学や意見交換なども含めて駆け足でやっている。ただ、正直言って面白くない内容も含まれる。細かい文言よりも、考え方とか仕組みとか、あるいは現状と問題点について考える場にして欲しいと思っているが…。きちんと伝わっているかどうか。また、博物館学的にこの内容が適当かどうかについては、議論の余地がある。

 

実際、SNS上ではさまざまな意見をいただき、議論はいまも継続中である。のちに、頂いた意見などを紹介したい。

 

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