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2016年6月14日 (火)

新着資料展での「かめや食堂資料」

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 6月11日(土)から7月10日(日)まで、「新着資料展:最近博物館へきた資料たち」を開催している。
 
 新着資料展そのものは、帯広百年記念館時代に数年前から始めた。寄贈いただいた資料を、まずは一度お披露目しよう、また期間中に登録作業などもしてしまおう、と考えて始めたもの。ただ、帯広の場合は初めて見ると意外に?来館者が多く、期間中にじっくりと登録作業をするという目論見はすぐに崩れてしまったが、御寄贈いただいた方のお気持ちを思うと、寄贈後すみやかに一度お披露目をするというのは、博物館として大切かなと、やってみてあらためて感じていた。
 
 そこで、浦幌でもこれをやろうと考え、とりいそぎ、ここ2年間で寄贈いただいた資料で「新着資料展」を試みた。
 
 
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 とは言え、浦幌でも年間500〜1000点近い資料を毎年受け入れており、これを全て公開するのは不可能。ほんの一部をご紹介するので精一杯なのである。そこで、今回は小型の資料を中心に、しかも一括コレクション(●●家や●●商店などから一括で寄贈いただいたもの)を軸に展示品を決めた。
 
 
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 今回の目玉は「かめや食堂資料」。実際には、系列の「佐々木水産資料」と言った方が良いかも知れない。
 
 厚内の水産加工会社、佐々木水産の資料と、系列のかめや食堂資料を、まとめてご紹介したものである。
 
 
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 かめや食堂は、博物館や役場にほど近い場所にあった小さな大衆食堂。当時は、役場職員のみならず、まだ東山にあった浦幌高校の先生や、駐在所の巡査などがよく利用した。出前も多かったと言う。
 
 最近、この食堂建物の中を整理されているそうで、忙しいところ無理をお願いして、この機会にいろいろと資料を寄贈いただいた。写真は店名の入った割り箸。「食事の店かめや」と刷ってあるが、この表記は箸袋意外には見られず、のれんや電話帳にも「かめや食堂」しか無いから、正式な店名というよりも売り文句のようなものだったのだろう。
 
 
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 かめや食堂の文字が入った湯呑茶碗。
 
 
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 かめや食堂のスタートは、厚内にあった佐々木水産の敷地内で始めた「厚内食堂」である。これはその頃に作られたマッチ。
 
 
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 その後、本町市街地にある農協(Aコープ)2階で「浦幌農協組合食堂」を請け負っていた。これはその頃に作ったマッチ。このマッチが大量にあり、その後の「かめや食堂」になってからも、新しいマッチは作らず、このマッチを配っていた。
 
 
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 厚内食堂の文字が入った、麺どんぶり。かめや食堂の時代まで使い続けていたと言う。
 
 
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 ラーメン鉢。かめや食堂は雑貨屋の2階にあった。当時「1階の雑貨屋も引き受けてくれたら建物を譲る」との話があったそうで、実際に開店当初は1階の雑貨屋も経営していたと言う。かなり面白い話なので、こんど詳しく聞き取りをしておきたい。
 
 
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 蓋付きどんぶり。食器史の文献を読むと、もともとドンブリには蓋は無く、後年、付くようになったとのこと。これまで私は逆(もともと蓋があったのが、だんだん使われなくなってきた)と思っていたが、違ったのであった。こうした食器史と町の大衆食堂での使われ方(実態)の関係は重要な気がする。なにかの本で「カツ丼に蓋がされずに出される事が多くなってきたのはいつ頃か?」という問題提起がされていたが、そうした風俗記録をたどるのは興味深いことである。
 
 
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 壁にかけられていた「浦幌町戸別明細図」。いわゆる住宅地図である。こうした詳しい市街地図は、当館には意外と残っていない。しかし、町の細かな配置(商店とか倉庫とか)を知るのにまたと無い資料である。
 
 しかもこれは食堂の壁に3枚重ねて貼られていたもの。同じように壁にかけられていた電話帳も寄贈いただいた。出前の際には重宝したことだろう。残念ながら地図本体に発行年月日が書かれていないが、3枚を並べると浦幌小学校と浦幌高校の移転前後である事が判明したので、1982(昭和57)〜1985(昭和60)年頃の地図だと推察した。
 
 
 このほか、岡持3種を寄贈いただいた。出前の量(運ぶ食器の量)に応じて、大きさが異なるものである。アルミ合板にリベット打ち、持ち手が木製という、昭和の大衆食堂で広く見られたタイプである。こうした町の個人商店史を、聞き取りとモノによって記録する事は、地域史にとって意義の大きい事で、それができるのも資料を一括寄贈いただいた事による。この手法での収集は、今後も重点的に実施していきたい。
 
 また、佐々木水産資料では、筋子やいくらなどの水産加工品を製品として販売するための「木箱」数種と、比較のための最近の「発泡スチロール箱+紙製化粧箱」を寄贈いただき、展示した。木箱の製造は白糠町庶路の会社だったが、時代の変化で既に木箱生産から撤退している。水産業とそれを取り巻く関連産業との関係を示したひとつの事例で、この流れもいずれまとめておきたいと思う。
 
 

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