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2016年4月17日 (日)

日々の作業が力になると思うこと

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 熊本を中心とする九州の地震の被害が心配だ。東海大学農学部には、かつて先輩も在学していたし、熊本大学からは、昨年、2名の研究者がはるばる浦幌まで資料調査に来られた。そうした方々の安否と共に、熊本城やジェーンズ邸など文化財の被害が明らかになっていくについて、職業的な心配も日に日に増している。
 
 東日本大震災のとき、SNSは災害情報の共有に大きな力を発揮すると意識し、膨大な情報を整理しつつ、文化財の修復など学芸員間の横の連携が強まった。今回は状況が少し異なり、地震はまだ収まって居らず、博物館・図書館や文化財のレスキューはもう少し後になりそうである。
 
 我々は日頃から標本や資料を集め、保存する事を第一の至上命題としている専門職である。当然だが、地震が起きてから文化財を守るのではなく、地震で被害が生じた時に適切な処置がとれるような資料扱いの知識・技術は、日頃の活動の積み重ねで鍛えられていくものである。だから学芸員は、どんな小さな博物館でも、常に資料を(モノを)触っていなければならないと思う。
 
 いまはまだ文化財レスキューなどの動きは(情報収集・情報連携は別として)本格的に始まっていない。いまやる事は、日々の標本・資料整理活動であり、そうした活動への理解者・協力者をつくる事である。それがいつか災害に対しても力を発揮するはず。
 という事で、今日は毎月恒例の「お茶を飲みながら資料を磨く会」を開催。
 
 
1
 いつも通りの農具類のサビ落とし。今日は雨のため、外収蔵庫からはあまり持ち込まず、小型の道具を中心に手入れしたが、ひとつだけ「アイカケ」というカルチベーターのような道具のサビ落としをしてもらった。ちょっと室内でやるには大きい道具だったが・・・
 
 
2
 今回は、3月に閉校した厚内小学校関係の資料整理も実施した。特に写真資料。会報などの原稿に用いられた写真には、裏に台紙に貼っていた時のセロハンテープの粘着が残っているものがある。これを消しゴムと指でこすりながら剝離する作業。部分的にカッターナイフも用いる。台紙から剥がした写真には現状を鉛筆で記録する手間もあり、割と時間のかかる作業だ。
 こうした作業をボランティアさんに経験していただき、資料を残すってこういう事なんだ、と理解と共感を得られれば、博物館にとって、文化財にとって大きな力となると考えている。
 
 正直、1回あたりの作業量は微々たるものだが、無理の無い範囲で毎月続けて行きたいと考えている。
 自分自身が最近、事務仕事に追われて標本や資料と共に過ごす時間が無い事への自戒をこめて。忙しさにかまけて学芸員が「博物館係」の“お役人”になり下がってしまうと、本当につまらん事にしかならないからなあ。
 
 

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