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2016年1月13日 (水)

浦幌の喫茶店「松屋」の資料を頂く

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 仕事が終わってから、頼まれていた原稿のチェックをしようと、駅前通りの喫茶店「松屋」さんへコーヒーを飲みに寄ったら、マスターが「マッチありましたよ」と、いまから20年くらい前につくった広告マッチを出してきてくれた。マッチのデザインは創業以来3回ほど変更しており、これはその最後のデザインだと言う。
 
 以前に、町の商店の記録として店名の入ったマッチを集めているとお伝えしたところ、探しておいてくれたのだった。「資料にして下さい」と頂いた他、なんと昭和40年頃の開店当時から10年間ほど使っていたというコーヒーカップまで、「良かったら持って行って下さい」と御寄贈頂いた。感謝である。
 
 
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「いま見ても古く感じないデザインでしょう」とマスターが言うとおり、まったく今の時代でも違和感の無い、美しいデザインだ。
 
 松屋のマスター、中山光勝氏は、最初、帯広の豆問屋でコーヒーの指導を受けた。その帯広の豆問屋というのが、東京都港区虎ノ門に今も店舗を構える株式会社松屋珈琲店の一番弟子が、1952(昭和27)年頃に開店した店だった。カップの意匠は、その東京の松屋珈琲店で用いていたものであり、浦幌で店を始めるにあたって意匠の許可を得て作ったのだそうである。
 
 この東京の松屋珈琲店、ホームページを見たところ、1918(大正7)年創業の老舗で、しかも創業者の畔柳〔くろやなぎ〕松太郎氏というのが、日本のコーヒー史上、忘れてはならない人物のようだ。1908(明治41)年にブラジルへ渡った第1回移民団の栽培したコーヒーが、1914(大正3)年になって初めて日本へ送られた際、神戸港にそれらを受け取りに行き、まだ国内消費量がほとんど無かった時代に、皇国殖民合資会社のコーヒー担当として売り捌き、普及に貢献したのだそうである。1921(大正10)年には、自らも独立してコーヒー豆問屋となり、現在の松屋珈琲店を設立した。
 
 一方、浦幌の松屋は、先代の故中山晃明氏の代はなんと駄菓子屋であった。お店を継ぐにしても、「これからの時代はもう駄菓子屋はなあ」と考えた光勝氏(現在のマスター)は、もともとコーヒーが好きだったので喫茶店を選択した。そして、1985(昭和60)年に晃明氏が亡くなるまでの20年間は、駄菓子屋の2階で喫茶店を開いていたのだと言う。この1階の駄菓子屋がそもそも「松屋」を名乗っており、当時は2階の喫茶店も松屋だったそうだが、仕入れていた問屋も「松屋珈琲店」であり、名前に偶然の縁があったという事なのだろう。
 
 その他、帯広喫茶連合会の記念誌も見せて頂いた。現在、加盟店舗は40ほどになり、帯広以外の郡部で加盟している店は4店舗ほどしかないそうで、マスターも役員を務めている。店内にはこの喫茶連合会の会員証がカウンター横に掲出されているが、そう考えるとこの会員証も貴重な資料とも言える。
 
 毎日、夜遅くまで店を開けている松屋さんの歴史は、浦幌の商店街の歴史でもある。資料と共に、またいろいろとお話を聞き、記録化していきたいと思う。
 
 
 

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コメント

ありがとうございます。
喫茶店が文化の発信源というお話、非常に頷けるところがあります。浦幌へお来しの際には、ぜひ松屋さんへお立ち寄り下さい。

ちなみに銭湯巡りもなさるようでしたら、浦幌の隣町、音別町の「桜湯」もいちどお訪ねください。このブログでも以前にいちど御紹介しましたので、御参考になさってください。
http://sapokachi.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-d7e3.html

投稿: 持田 誠 | 2016年1月16日 (土) 17時47分

時々、北の大地の浦幌に思いを馳せ、読んでいます。喫茶店は、古今東西文化の発信源であり、人々の集う場所。私は、旅先で地元の喫茶店にいつも行きます。ネットの発達により、海外の小さな町でも喫茶店の情報をいながらにして取ることができるのも不思議ですね。
浦幌の「松屋珈琲店」さんも次の北海道旅行の際には、行ってみたいなあと思っています。

ちなみに銭湯巡りは、もっともっと渋い愉しみですよ。

投稿: momochin | 2016年1月16日 (土) 14時26分

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