浦幌町立博物館では、ただいま「なつかしの昭和生活展:火鉢からマッキントッシュまで」を開催中。今週29日金曜日まで。なぜ金曜日までかと言うと、私が日月と出張でおらず、火曜日には別の団体が展示を設営するので、土曜日にしか撤収作業ができないという、超学芸員都合的な事情によるものです。誠に申し訳ないです。
これは最近寄贈していただいたもの。よく見る釜(羽釜)ですが、この資料のポイントは上の釜ではなく下の箱。
このように、火から降ろした釜を置いておくための道具で「尻据え(しずえ)」と呼ばれています。今回、展示するまで私も名前を知りませんでした。
「なつかしの昭和展」的なものになると、どうしてもすごく古いものに目が行きがちですが、平成も27年たち、昭和末期の品々もれっきとした歴史資料となりつつあります。そこで今回は身近な家電など昭和末期の生活用具をあえて重視し、いろいろと集めてみました。
これはアイロン3世代。手前が炭火アイロン。パカッと蓋が開いて、中に炭火を入れて使います。左が電気アイロン。電気アイロンって、あの有名なトーマス・エジソンが発明したって知ってました?エジソンは電気の普及のため、照明以外の活用法をいろいろ検討する中で、アイロンを開発したそうです。
そして左のコードレスアイロン。これ、実は昭和63(1988)年に初登場しました。ギリギリ昭和世代の家電製品です。
この奥行きのあるテレビ。ブラウン管テレビは、つい最近まで見られました。薄型テレビの普及と地デジ化で、いつの間にか日本からは姿を消してしまいましたが、その後もフィリピンで製造が続けられていたそうです。
しかしフィリピンでのブラウン管テレビ製造も今年中には終了するとのこと。いよいよ世界的にブラウン管テレビの時代が幕を閉じようとしています。節目の年に展示できて幸せです。
オープンリールのテープレコーダ。これはドイツが先進国で、戦時中、ヒットラーの演説はテープに録音して配信したそうです。いわく、雑音が少なく、録音なのか生放送なのか聴いていてもよくわからなかったので、ヒットラーの居場所を隠す目的があったと言われています。
その後、カセットテープの登場でテープ本体を触らずに取り扱えるようになり、機種も小型化。ウォークマンやラジカセの登場へと繋がっていきます。
タイプライターというと欧文タイプが目に浮かびますが、これは和文タイプライター。欧文タイプライターとはずいぶん形が異なり、サイズも巨大です。それもそのはず、日本語は活字の種類が多く、タイプライターも使用する活字に合わせてサイズはもちろんパーツも増え、専門のタイピストで無ければとても使いこなせない代物でした。
役場や会社などでは専用の部屋に専用の係員を置いて用いていました。個人所有ではなかったんですね。この和文タイプライターも浦幌町役場で用いられていたもの。今も動きますが、私は動かせません。
ワードプロセッサ、いわゆるワープロです。和文タイプと違い、こちらは個人所有できるサイズで使い方も簡単と、あっという間に普及しました。私も初めて触ったのは中学生で、高校生の時には自分用のワープロ、東芝のRUPOを買いました。
しかし、すぐにパソコンが追いついてきました。WINDOWS95が登場する事になるとワープロからパソコンへ乗り換える人が相次ぎ、やがて製造中止になります。ワープロ時代は短かったんですね。
今回の展示で「かわいい!」「いちばんMacらしい形」などと一番人気なのが、このMacintosh SE/30。パソコンです。登場は平成元年なのですが、まあ昭和64年と同じ年(1989年)という事で、ギリギリ昭和の道具として展示しました。ひとつ前のSEは昭和世代ですし。
Macintoshの登場・普及は、パソコンの一般化に大きく貢献しました。私が最初に買ったMacはLC630でしたからずっと後の製品。でも七色リンゴマークのMacを見ると、やはり当時がいちばんMacっぽかったなという印象を持ちます。
会場では、展示されている道具に関する思い出などを自由に書いて貼って貰うコーナーを設けています。ひとこと書いて貼って貰います。少しずつメモも増えてきました。お立ち寄りの際には、「あの頃はこうだった」などと思い出をぜひ書いていってやって下さい。
御来場をお待ちしています。
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