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2014年11月18日 (火)

道東の鉄道貨物はどうなる?

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 12日に帯広市内において「釧路港ポートセミナー」が開催された。帯広市役所の研修案内で回覧されてきたもので、私は滅多に市役所の研修に参加しないのだが、釧路港は十勝の物流と大きく関わってきた歴史があり、現状を知ろうと出席してきた。
 
 釧路市の副市長さんの挨拶に続いて4名の演者からそれぞれとても興味深い報告があり勉強になった。釧路港、それに内航海運の現状と、荷主である企業の人達が何を考えているかがよく理解できたと思う。
 
 このセミナーへ参加した動機のひとつは、モーダルシフトはどうなっているか?という事にあった。結果としてモーダルシフトは進んでいるように見える。が、それはトラックから鉄道へではなくフェリーや貨物船にである。釧路港の将来に鉄道がどう関わっていくかに関心があったのだが、どうもそうした空気には無さそうだ。
 
 
2093
 
 釧路貨物駅(新富士駅)へ到着する2093列車。現在、根室本線最東端の貨物駅である。昨今、トラックドライバーの不足で根室のサンマ輸送に支障をきたしているとの報道があり、鉄道貨物輸送の出番ではないかという報道があった。私もそう思って、今後の推移を見守っているのだが、どうも肝心の経済界にはそんな機運が無い。
 
 今回のセミナーでも言及されているのだが、青函トンネルの将来に荷主さんは皆不安を抱いているのである。もちろん北海道新幹線の影響である。
 
 新幹線が開業すると、貨物列車の通行時間帯などが制限される可能性がある。折しも、北海道庁はJRに対して、貨物列車とのすれ違いによる影響を防ぐ為の新幹線の減速幅を早期に無くし、全ての列車の高速走行を求める要望を出した。旅客輸送の面からは確かにそうした要望があり、今後遅かれ早かれ実際にそうなっていくのは間違い無いだろう。
 
 そうなると、ますます貨物列車の走行時間帯が問題になる。荷主に都合の良い時間帯に貨物列車が運行できるだろうか?また、待避時間などが長くならないだろうか?定時性・速達性がきちんと確保できるだろうか?その不安が非常に大きいのだと思う。
 
 
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 今回のセミナーを聞いてなるほどなあと思ったのは、道東と東京を結ぶ船便の到達時間が早く、しかも安定している事である。例えば、釧路港を18時に出た船は茨城県の日立港に翌日14時に着く。所要20時間である。ここから陸路をトラックで東京の築地市場へ運ぶのに1.7時間。船からトラックへの積み替えに1時間の間を置くとして、総輸送時間は22.7時間なのである(釧路港ポートセミナー配付資料による)。
 
 「そんなに早くないじゃん」と思うなかれ。これは立派に早い。鉄道の場合、貨物列車がノンストップで道東から東京まで走る事は無く、根室本線だけでも旅客列車との行き違いや追い抜き待避などでかなり停車するし、天候や人身事故などの影響でそれらの待避時間はさらに延びる事もある。写真の2093列車はこの日、1分の遅れも無く定時で到着していたが、そうならない事も多い。むしろ昨今の鉄道貨物輸送は、長距離になればなるほど、到達時分が見えない不安があるのではないだろうか?
 
 これに対して、船は基本的に直行便である。かつて青函連絡船は天候による欠航が不安要素とされ青函トンネルが待望されていたが、今の時代、大型フェリーは予想以上に悪天候に強く、滅多に欠航しない。しかも到達時分が安定している。しかも便数も多いし一度に輸送できる量はダントツに大きい。こうなっては、長距離を鉄道貨物に依存する荷主が船に流れるのも当然である。
 
 
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 トラックから鉄道へのモーダルシフトなんて素人考えなのかなあと痛感できただけでもセミナーへ出席した意義はあったのだが、しかしでは可能性は全く無いのか。後から考えたのだが、例えば先述の輸送計画の場合、フェリーの到着する日立港から東京の築地までのルートをトラックから鉄道貨物へ移す事は現実的だろう。特に都心部の大型自動車の通行を減らしたり、渋滞を回避するという意義は大きい。
 
 同様に首都圏など本州の都心部と周辺の拠点港湾を鉄道貨物で結ぶ役割というのは、今後本格的に期待されていくのではないかと思う。では北海道は?北海道の鉄道貨物に未来は無いのだろうか?
 
 これも素人考えだが、フェリーや貨物船との直結、すなわち内陸から港湾へ、あるいはその逆を鉄道で輸送する可能性をもっと検討できないかと思う。
 
 ただし、現状ではこれもトラックに期待する荷主さんが多く、特に今回かなり期待度が高かったのが道東自動車道の白糠延伸開業が目前という事であった。既に、かつて苫小牧港へ流れていた十勝からの貨物が、今年から徐々に釧路港へ向かう流れが起きていると言う。しかも、今回の本別〜白糠・釧路方面への延伸は、新直轄方式により通行量無料との事で、かなりのトラックが国道38号線経由から道東自動車道へ流れると思われる。
 
 
2
 
 思うに、専用線の見直しもひとつの可能性だと思う。写真は釧路コールマインの石炭列車。このように、生産現場に直接線路を引き込み、港湾へ直行・大量・ピストン輸送する方式は、従来から鉄道ではよく見られたものである。しかし、貨物駅の大量整理で、駅から生産現場への引き込み線(専用線)自体がかなり少なくなった。だが、元来ここにこそ鉄道貨物輸送の利点があるのではないか?石炭ほどではないにしろ、間にトラックへの荷の積み替えが発生する手間を省き、生産現場から拠点港への(あるいはその逆)への直行輸送ができる貨物がもっと無いだろうか?
 
 北海道新幹線の開業に道東自動車道の白糠さらには釧路への延伸で、貨物列車はいよいよ正念場を迎えつつある。悲観的になるばかりではなく、新たな可能性を精力的に模索していって欲しい。 
 
 

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