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2014年11月 5日 (水)

寄贈資料の振り分けを判断する

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 先日、地域の方から写真や本の寄贈申し出があり、ご自宅へうかがった。その際、書棚に雪印乳業技術研究会発行の図書がいくつか含まれていた。中には、雪印乳業が戦時中の企業統制で北海道興農公社と名乗っていた時代の印が押されているものもある。

 

 

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 一般流通をあまりしていない専門書であり、かつ雪印乳業技術研究会の歴史を示す資料でもある事から、当館よりも雪印や乳業史を扱う機関での所蔵が望ましい。提供者にも扱いは任せてもらったので、OPACやCiNiiBooksで蔵書状況を確認の上で、酪農学園大学附属図書館と帯広畜産大学附属図書館へ打診したところ、受け入れOKをもらった。

 

 そこで本日、酪農学園大学附属図書館へ半数を発送した。ちょうど酪農学園に上巻しか所蔵の無かった図書の下巻があり、これで完本になったはずだ。酪農学園大学附属図書館は昔アルバイトでお世話になっていた図書館なので、少しお役に立てて嬉しい。

 

 

資料の命運を決める学芸員のセンス

 ところで、このように寄贈の申し出を受けた際、その資料の扱いをどうするか?この判断をどう下すかというところに、学芸員の力量やセンスが現れるのではないかと思う。実際のところ、自らの勤務館では引き受けられない資料が含まれているケースは多い。こうした際に単純に断るか、扱いを任せてもらうという約束を取り付けた上で、一時的に受け入れ、その後の受け入れ可能館を探すかで、その資料の行く末は決まる。この決断は瞬時に行わなければならないケースも多く、また一時的に受け入れた際にも、次の寄贈場所を早く決めないと所蔵場所の物理的制約が大きくなる。

 

 こうしたとき、いかにその学芸員が自身の勤務館についてだけでなく、周辺の、さらには全国の博物館や関連施設についての知識を持っているか?また実際につながりがあるか?などが大きな力になる。例えば今回の場合、酪農学園大学は雪印乳業の系列の大学であり、関連資料を所蔵している大学だからこそ図書の寄贈打診先に入っている訳だが、そうした知識を経験と共に日々吸収しているのが学芸員な訳である。そしてこれは、学芸員が博物館の専門職だから磨かれるセンスであり、単純に本庁の事務官が異動してきて3年かそこら勤務して磨けるものではない。

 

 そうした目に見えづらい専門性が存在する事を理解しようとしない人事政策は、無能のきわみである。帯広市役所も教育委員会も

、こうした専門性を存分に発揮できるような人事制度について、もっと研究を進めるべきだが、現実はまったく不勉強この上ない。
 
 この専門職の発想は、昨今よく提唱されるようになってきたジョブ型正社員の発想と同じであり、地方公務員もジョブ型正社員の発想をもっと採り入れるべきなのだが。
 
 

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