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2014年10月 8日 (水)

バスに乗れない役人たち

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 誠にお恥ずかしい限りなのだが、当館の職員の大半が、当館から駅までの、あるいは当館までバスで来るためのルートや時間を調べる事ができない。バス停の場所すら知らない。お客さんからバスについて問い合わせがあっても、自分の言葉で答える事ができない。理由は、自分がバスなど全く乗らないからである。
 
 首都圏や札幌に在住の人ならば、バスは身近な交通機関である。だが、帯広の人は本当にバスに乗らない。その比率は驚くべきほどである。最近、黒字を達成した十勝バスが、その方法のひとつとしてバスの乗り方講座をしたという新聞記事があったが、実際にどうやって乗ったら良いのかわからない人が大半なのである。
 
 これはもちろん理由があり、不便だからである。ただ、この不便さには条件が付く。少なくとも当館に関する限り、道東という交通事情の中から見るとバスの便はかなり良い方だ。最寄りのバス停へは平日には1時間に2本、少し離れたバス停ならば2つのバス会社の便があって1時間に3-4本が運行している。神奈川県横浜の私の生家のバスでさえ1時間に2本なのだから、もっと便利だと言う事もできる。
 
 帯広の人がバスに乗らないのは、自家用車で好きな時に好きな場所へ行ける、という事と比較しての不便さである。それだけ車社会が成熟しているという事だ。都会に比べ行動範囲の距離が必然的に広くなるので、これ自体は悪い事ではない。十勝で暮らすという事はそういう事なのだと思う。
 
 だが、当館のような公共施設に勤務する役人の場合は話がまったく別である。博物館は多くの人に足を運んでもらうための施設であって、その中には車を運転できない方も当然含まれる。遠方から旅行で来られる方もいる。そうした人達に対して、近くをバスが運行しているにも関わらずその案内ができないというのは、公共施設の役人として言語道断に不勉強で恥ずかしい事だと私は思う。
 
 だが、その原因を作ってしまったのは私かもしれない。これまで、館内でバスの問い合わせがあると私が回答していた。ダイヤ改正や運賃改定がある際の資料も私が用意していた。私に回せばなんとかなる、という思いが館に定着してしまった感がある。これは私の対応のまずさだったかなと思う。
 
 なので本日をもって、私は路線バスに関する回答を原則受けない事にした。これからは自分たちで勉強しろ、まずは最寄りのバス停まで足を運んで場所とルートを確かめ、その後は実際に駅までバスで往復してみてみるように、と全体の打ち合わせで公言した。実際に彼らがそうするかどうかはわからないが、こうして突き放さないといつまでも私に甘えて自ら学ぼうとしない事は明白だからである。
 
 ところで、生活上バスを利用していない役人たちにバスでの行き方、利用の仕方を学べというのは、本来は業務であるはずである。私は勝手に「自分で学べ」と言ったが、実はこの部分が本当はひっかかっている。労働運動の観点からは、勤務館へのバスの使い方は、本来は業務として、すなわち研修として実施するべきだと思う。
 
 これは百年記念館に限らない。帯広市は本庁勤務の者も含め、積極的にバスの使い方を学ばせるべきで、そのための研修を公的に実施すべきである。だいたい米沢市長や教育長はバスに乗った事があるのか?市長はともかく、教育長や生涯学習部長なども、当館へ来る時はいちどは路線バスを利用して来てもらいたい。そして実際のルートやバス停の位置を知り、問題点などを実感してもらいたい。フードバレーと路線バス問題は、地方農村に共通する課題だと私は思っている。ぜひ考えて欲しい、と今度直談判しようと思う。
 
 
*市長と教育長を名指しで批判する事に対する問題点の指摘を頂きました。市長については政治家ですから問題ないと考え据え置きますが、教育長に関しては確かに公人ではあるが直接選挙で選出された政治家とは異なるので、適当でないかもしれません。なので教育長の氏名のみ削除する事にしました。
 
ただ、教育長、たまにはバスで来てね。
 
 
 

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コメント

佐藤様、コメントありがとうございます。こちらの不手際でコメントの公開が遅くなってしまい、たいへん申し訳ありません。
 
仰るとおり、バスへの精神的なハードルを下げる事が大事だなと思います。バスへの乗り方がよくわからない、わからずに乗ったら運転手氏に注意を受けて、ますます乗るのが怖くなったなどの話をよく耳にします。こうした細かい点の改善、特にソフト面での改善が、WEBなどでバスの情報を公開する事と共に大事なんだろうなと実感しています。
 
その他、リンクなどの情報、たいへんありがとうございました。私も勉強していきたいと思います。

投稿: 持田 誠 | 2014年10月16日 (木) 21時28分

黒字を達成した十勝バスが、その方法のひとつとしてバスの乗り方講座をしたという新聞記事には、私も驚きと気づきを与えられたものです。
バスへの精神的なハードルを下げてあげることが大事なのでしょうね。「聞くのも恥ずかしいし、手間だし・・・」なんていう意識がどこかにあったのだと思います。そして、それを、乗り方講座という試みで取り払い、黒字を達成した。喜ばしいことだと思います。

また、自家用自動車が必須になってしまっている地域は、自動車依存による不合理な郊外化、高齢化の進行や人口減少にまつわる税収の減少に伴うインフラ維持費の捻出不可能化もあり、今後バスや鉄道、自転車、歩きだけで便利に暮らせる地域にしていかないと今後ますます苦しくなるという意見は、国土交通省のホームページでもあるぐらいです。
脱自動車、コンパクトシティが今後ますます命題となってくると思いますし、手遅れにならないうちに公共交通及び自転車に関する環境の整備が望まれるところです。

自動車依存の問題点 国土交通省 http://www.mlit.go.jp/crd/index/pamphlet/01/
自動車依存で自滅する地方
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/archive?word=*%5B%BC%AB%CC%C7%A4%B9%A4%EB%C3%CF%CA%FD%5D
脱クルマ社会 高齢化も見据え交通網 http://fanblogs.jp/sakurabunama/archive/253/0

また、自家用自動車を市民らが運転しなくても住む街は、子供にとっても高齢者にとっても優しい街であり、誰にもにとって健康的に安心して暮らしやすい街であることは疑いようがありません。
そのような街、地域を目指したいものですね。
通学路でさえ自動車がビュンビュン通るような地域に住みたいと思う子育て世帯はそうそういませんし、子育て世帯を呼び込めない地域はいずれ財政破綻や限界集落化してしまうでしょうから。

投稿: 佐藤 | 2014年10月 9日 (木) 12時20分

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