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2014年7月 1日 (火)

『博物館展示と地域社会:民俗文化史からのまなざし』を読む

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 今日は休みだったので、岩田書院から出たばかりの『博物館展示と地域社会:民俗文化史からのまなざし』をゆっくりと読む。著者は現在、東京家政学院大学教授の西海賢二さん。「歴史学」と「民俗学」の2つ博士号を持っておられるそうだ。
 
 本書は著者が『地方史研究』などに書かれた小論の中から、地域と博物館をテーマとしたものをまとめたもの。したがって、全19章のひとつひとつは短く簡潔にまとめられており、私のような民俗学の門外漢でもスムーズに読み進める事ができた。
 
 地域にこだわり、資料・史料を地域の生活者の歴史の中から分析・考察した結果を博物館で展示にする。私達のような地域博物館の活動の原点であるが、案外これは難しいものである。
 
 とかくモノ陳列で終わってしまいがちな地域博物館展示だが、本書には緻密な調査研究の成果の上に、地味なテーマながら深く考察された展示の実例が数々とりあげられている。中央学界からではなく地域の人間が丹念に地元の風習・民俗そして民具を比較・調査する事で明らかとなる史実がある。その最前線で日々地域社会やモノと向き合うのが学芸員のあるべき姿である事を再認識した。
 
 いろいろと興味深い話が多かったのだが、そのなかでも10章の「地域の文化をどうつくるか:常民文化研究会の活動から」で感銘を受けた。ここでは、著者が取り組んでいる民俗のスライド巡回が紹介されている。
 
 年中行事、祭り、民家、民具、民間信仰、生産・生業などのスライドが、なんと約15万枚。これを活用して、研究会員宅から老人会、大学民俗研究会などを巡って、毎年スライド上映会や座談会を開催する事300回。こうした地道な取り組みの中で地域との繋がりが深まり、地域と共に学び、新たな発見や資料の発掘に結びつくのだろう。
 
 自身の学芸活動のあり方を考えさせられる一章だった。
 
 
 
 

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