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2013年5月30日 (木)

本別・美幌・釧路のエゾヒメアマナ

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 5月18日、本別町の本別公園で採集したエゾヒメアマナ。
 
 
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 公園の隅の山麓に散生していた。鹿対策の柵の外側(公園側)に生えていて、そこはコケのマットが広がり、地面は滲出水で常に保湿されている状態。いかにもありそうな斜面だったが、鹿柵の内側(山側)はリターが堆積していて少なかった。やはり、人為的にリターが除去されている事が、個体群の拡大に効果があるのだろう。
 
 
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 同じ日の午後、美幌町美富自然公園。ここにもスポット的にエゾヒメアマナがあると、昨年パラタクソノミスト養成講座で美幌博物館を訪れた際に、同館の平林学芸員補から教えて貰っていた。自然公園内というより、公園の入口にある広場のようなところの一角で、けっこうな群生。
 
 
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 こんな感じ。網走・北見地区はエゾヒメアマナの分布域だが、今回の調査では根生葉の溝が平滑な個体ばかりが見つかった。これでは狹義ヒメアマナに同定されてしまうと思うのだが、やはりこの識別形質は不安定らしい。そして種の境界も曖昧なのではないかと思う。平林さんに手伝ってもらい、花や葉の大きさを測定。やはり1人でも手伝って頂ける方が居ると調査は早い。
 
 
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 こちらは釧路のエゾヒメアマナ。釧路市立博物館の加藤学芸員に教えてもらった。釧路や網走地方では、けっこう沢山生えているらしく、そんなに珍しい植物ではない事が知られている。おそらく十勝もそうで、単にキバナノアマナと混同されて、認識されていないのだと思う。
 
 ここの個体は花がでかい。草丈というより、花被の幅が太く、ポテッとした印象を受ける。そして、苞葉から伸びる花序の感じが少し異なる気がする。ただ、これを識別形質にしている図鑑もあるが、全ての個体がそうではないし、やはり不安定な形質だと思う。根生葉は平滑だった。
 
 
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 ここは駐車場の植え込みに生えている。これはまた、びっくりな場所である。この付近にも生えている場所があって、もともと群生していたものが、アリなどの散布でたまたま運ばれてきたものが群生したのだろう。
 市内の他の場所にも自生地があり、案内してもらった。そちらは花季が既に終盤に入っていた。
 
 十勝の分布の確認と共に、今後は分類学的な形態形質の数値比較が必要である。また、DNAによる検討も必要で、母校の教室で学生さんの修論課題にしてもらおうと考えている。
 
 今年の花季はもう終わる。駆け足で採集と測定をして廻った5月も明日で終わる。
 
 

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