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2013年5月28日 (火)

嘱託学芸員の年収です

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 新聞に載せて下さったせいか、いろいろな方から声をかけて頂き、たいへん恐縮です。ただ、どうも少し誤解があるような感じも。
 
 私は大学の先生でも(まあ、非常勤では先生だけど)、どこかの研究所の博士でもなく、ただの市役所の嘱託だ。だが、どうも世の中「研究している人 = えらい人= 地位も所得も高い人」のイメージがあるようで、そのように言われる事が多い。何を見て言ってきているのか知らないが「不動産買いませんか?」みたいな電話や手紙をもらう事もたまにある。「タダでくれるなら考えても良い」と答えているが、訳のわからない業者だけでなく、市中の方々にも誤解を受けている面がある。
 
 これらの誤解の中には、いま若手の研究者や、非常勤学芸員の少なくない人数が置かれている現状全体に関わるものもある。なので、あらためて私の立場をはっきりさせておく意味でも、ここでちょっと情報公開。
 
 これが今年の確定申告で税務署に提出した源泉徴収票のうち、もっとも年収のベースにある今の職場のもの。税込み年収で2,191,200円也。税金や社会保障分を差し引くと、手取りで残るのは200万円を数十万円下回る。
 
 
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 私は地方公務員法第3条第3項第3号の定める特別職の嘱託職員だ。通称「333職員」などと呼ばれるこの特別職は、この法律の第4条により、地方公務員扱いされない(ここも誤解されている事が多い、というか市役所の職員にもよくわかってないヤツがいるが、我々は地方公務員法の対象から除外されている)。
 
 なので、勤務時間以外は兼業自由。そもそも特別職嘱託というのは本来、この職そのものが兼業の人を対象に始まっている制度で、特別職嘱託を専従的に任用している事には実はいろいろな問題が隠れているのだが、まあ今はそこは良い。それで、私は大学の非常勤講師とか鉄道ピクトリアルに原稿書いたりとかして副収入を頂いている。ほんと、ありがたい事です。これらの源泉徴収票。
 
 けっこうこれが、1年たつと「あれ?どこへ行った?」とかなるのだが、これらを整理しながら「ああ、今年も儲からなかったな」と感慨深げに一年を振り返りながら確定申告書を作成するのも楽しいものである。
 
 今年は、基本所得と講師料などを合計した所得が約275万円くらいだったと思う。これが実際の私の年収全額。この金額だと還付の対象になる。つまり「お金無いんだな、じゃあ税金返してあげよう」という、累進課税制度の恩恵にまさに浸っているのである。逆に言えば、まともに税金を徴収できるような年収では無いとも言えるのだ。
 
 だって40歳で275万円(手取りだと175万円くらい)の年収ですよ、けっこう生活楽じゃありません。ここから実際には調査研究の費用とか文献代金とかで毎年けっこうな金額を支出した上で、借金返して、生活しているんだから。
 
 だが、こうした生活をしながら、研究したり論文書いたりしている人達が全国にはたくさんいる。学芸員や司書の仕事をしつつ、実は生活の中身こんな感じという方も今はたくさん居られるのである(指定管理の施設で働く司書さん達は、もっと大変だ)。そうした日本の専門職の現状を、広く知っていただければと思う。
 
 まあでも、私は幸せですけどね。結局は「どう生きるか」ですから。
 
 
 
 
 

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コメント

下品な質問で恐縮ですが、年収は今年も同じくらいですか?

私はかつて博物館学芸員となって、考古学者になって…、という夢を学生時代に持っていましたが挫折し、現在高齢者福祉の仕事についています。

同じく給与の低い業界として有名ですが、申し訳ございません。70万近く多くもらってます。

なんか悲しいです。

これじゃ報告書購入に充てる書籍代、研究発表会への出張代などなどで、残りがいったいいくらになるんだか?

浦幌は石刃鏃文化&浦幌式土器の標識遺跡もあり、学術上重要な場所のはずなのに…
※私の時はそうでしたが今はどうなんでしょうね??

北海道の札幌市以外は状況は同じなんでしょうか?

もしかしてほかの業界と同じく、正規職員より非正規職員が多くなっているんですか?

投稿: 考古学者になれなかった男 | 2016年5月 4日 (水) 21時02分

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