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2012年9月

2012年9月29日 (土)

ありがとうナウマン号

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 一昨日、百年記念館前に、帯広市図書館の「ナウマン号」がやってきた。図書館に貸し出していた絵を返却に来たのである。そしてこれが、このナウマン号最後の仕事となった。


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 ナウマン号は帯広市図書館の「図書館バス」。すなわち「移動図書館」である。「読書の自由」を隅々に行き渡らせるため、遠隔地で図書館に通いにくい地域の人々へ本を届ける、大切な役割を担ってきた。この日の午後には新しいナウマン号が配置される事になっており、その直前に百年記念館まで絵の返却に来てくれた。


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 本棚やカウンター机の置かれた車内。既に本は出されており、空っぽの書棚がさびしい。ここで多くの人々が本を手に取ったのだろう。


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 ところどころの書棚に「小説」などの区分表記が見える。


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 運転席。マニュアル車だ。


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 定期巡回する学校の時刻表が貼られていた。


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「真理がわれらを自由にする」とは、国立国会図書館の大カウンターに掲げられた図書館運動の理念だが、真理をみきわめる第一歩は知識を得る事。その最も基本的な事が本を読むこと。社会教育機関としての図書館が、図書館活動を街中だけでなく隅々にまで行き渡らせようと努力する象徴が「図書館バス」なのかもしれない。

 この日の午後には新型ナウマン号が納車になり、月曜日に出発式がある。入れ替わりでひっそりと引退していく旧ナウマン号。長い間、本当にお疲れ様でした。

 

 

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2012年9月15日 (土)

本別町歴史民俗資料館と浦幌町立博物館

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 昨日は、10月から開催する移動展「博物館はなぜ標本を集めるのか?」の展示標本選定で、本別町歴史民俗資料館へ行く。十勝圏の博物館では珍しく、この資料館には本別サイエンスクラブの人たちが採集した本別公園産の植物標本が収蔵されている。ただ、図鑑や双眼実体顕微鏡は無いので、当館から持参。


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 同定を確認しながら標本情報を入力。そして、ありましたヒメアマナ。「キバナノアマナ」に誤同定されていた。無理も無い、慣れないとそっくりに見える。本別町産標本は苫小牧市立博物館にも収蔵されており、隣の足寄町からは今年の春に私自身も採集しているので、きっと今でも自生しているだろうと思っていた。この標本は、展示とはまた別の機会に論文で引用させてもらおう。

 こうした同定検証ができるのが植物標本の利点で、フロラ資料の最も基本的な作業だ。


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 さて、10月からは私の展示を行う1階のスペースで、その直前まで開催されている企画展。それが、和菓子作りの道具たちだった。かつて小樽市総合博物館でも見た事のある、和菓子の木型が多数展示されている。閉店した町内の和菓子屋さんから譲り受けたとのこと。他にも、「本別」と文字の入った煎餅を焼く「コテ」とか、いろいろな道具を展示。今もお話を聞く事ができるそうで、これはさっそく小樽博の和菓子女Sさんに伝えなければならない。最近、彼女には学生の弟子Oさんが付いているので、彼女に調査に来てもらおう。


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 14時頃まで本別で標本調査。ここは学芸員がおらず、隣にある図書館の司書さんが兼任されている。ご挨拶をして辞し、次は浦幌町立博物館へ向かう。本別は昔ながらの郷土資料館という感じ(つまり帯広百年記念館のような感じ)だが、浦幌は展示がとても新しく美しいのが特徴。発掘現場の様子を足下のガラスを通して見られるこの展示は、面白いが少し怖い。


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 浦幌町と言えばウラホロイチゲである。十勝では珍しく、町村名を冠した植物だ。この植物もレプリカで展示してある。


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 このレプリカが実によく出来ている。地上部もそうだが、土壌断面が見られ、根の張り具合や早春のリター層(落ち葉の層)なども精巧だ。思わず見入ってしまうこの展示が好きで、この博物館へ来る度にここで立ち止まってしまうのである。
 浦幌町立博物館もやはり専任の学芸員は居らず、館長のSさんは図書館、公民館、生活改善センターとの兼任だ。移動展を開く予定のスペースと、ガラスケースなどの大きさを確認し、事業の打ち合わせをして、帯広へ戻った。

 どちらも小さな町の小さな博物館で、専任の学芸員がいない。しかし司書や館長がコツコツと取り組まれていて、丁寧な事業が行われている。その点にいつも感銘を受ける。私もこういう小さな博物館で、嘱託ではなくきちんと正規の学芸員として働きたいのだがと思う。
 

 
 

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2012年9月14日 (金)

郷土バス見学会の下見

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 これは根室本線稲士別駅付近にある擁壁。幕別丘陵の東端部を通過する根室本線には、線路沿いにコンクリート擁壁が続くのだが、稲士別駅付近にのみ古い石垣積み擁壁が残っているのである。


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 昨年に見つけたときから、この擁壁の存在は気になっていた。築造年代を知りたい。かなり古いものだと思うのだが。どこへ問い合わせるべきか?保線区か?釧路支社の施設部だろうか?


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 変わってこちらは利別駅構内の跨線橋から幕別方向。左が根室本線だが、右に大きくカーブして山の方へ向かう道路がある。


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 この道路、廃線跡である。かつて利別から延びていた線路の終点は四線川の山中で、軍の整備工場があったのだと言う。これはその引き込み線の跡なのだが、空襲を恐れ、戦争末期には池田機関区の機関車をこの引き込み線を通って整備工場内に避難させた事もあるのだと言う。

 10月7日に実施する郷土バス見学会「鉄道で過ごす一日」の下見。その第2弾で、バスを止められる場所があるか?などを確認しに行ったのだが、意外に時間を喰ってしまった。これは少しはしょらないといけないかもしれない。

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2012年9月13日 (木)

秋の草花

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 ミゾソバが満開。蕾や果実はうすら赤いものが多いが、実は花は白い。うっすらとピンク色に花弁が縁取られているものもある。


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 アキノウナギツカミはまだ大半が蕾。暗がりに白い点々とした花房が光る。


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 タニソバもまだ蕾が多い。小さく可愛い丸っこい花房が印象的だ。


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 タデ科の草むらからズクズクッと立ち上がるようにヒヨドリバナ。タデにヒヨドリ、日本の秋の草原を感じさせる。


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 近くにはエナシヒゴクサ。他のスゲ類がシーズンを終えた今、美しいエナシヒゴクサ群落が目立つ。
 
 

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2012年9月12日 (水)

センボンヤリ秋型の季節

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 センボンヤリの秋型が盛りを迎えている。なんだか今年は、春以上に秋型を見る気がするが、草刈りのせいだろうか?


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 白い舌状花の目立つ春型と異なり、秋型はとっても地味。いつもこの秋型の花を見ると「絵筆」を思い浮かべてしまう。絵の具をベットリと付けて毛先の丸まった絵筆に見えませんか?


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 同じキク科植物でも、こちらはアスファルトの隙間に咲くトキンソウ。結実して赤くなっている様子がわかる。小さな小さな路面間隙雑草を見ていると、不思議に飽きないモノだ。
 

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 湿った草地ではカヤツリグサ類も穂をあげている。まだ蕾の個体もあり、しばらく花が見られそうだ。


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 カヤツリグサを真上から見たところ。この科特有の、葉も穂も3方向へ伸びている様子がよくわかる。茎の断面もサンカク。まさに三数性の模範のような植物だ。

 
 

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2012年9月11日 (火)

カエル講座でカエル三昧

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 9月8日(土)は月に一度のカエル講座の日。「緑ヶ丘公園のエゾアカガエルは何頭なのか?それらは園内のどこから来てどこで繁殖しているのか?」などを、連続講座で参加者と共に調査している。この日は、朝から夕方まで、暑い中を昼食を挟んでひたすら調査。写真は美術館横の「彫刻の小径」での計測風景。意外にこのような道ばたで林縁にも、たくさんのカエルが居た。


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 私はまだ2年目の新参者だが、もっと前からこの講座は続いており、参加者は大人も子供もベテラン。そのベテランの人たちでさえ、かつてない程の大量のカエルが確認された。この日はもう「カエル三昧」で、蚊の襲撃にあいながら林内を探し回ると、いるわいるわ、エゾアカガエルがどんどん捕まる。かつて無い勢いとの事である。


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 捕獲したカエルは体調の計測、雌雄の判別を行い、再捕獲法での計数に備えたマーキングをして放す。捕獲数が多いのはデータ的には良いが、その分計測に時間がかかる。嬉しい悲鳴、カエルも悲鳴だったろう。


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 講座をやっていると、公園で遊んでいた子供達が寄ってきて声をかけていく。いつの時代も、子供達はカエルをはじめ生き物が好きだ・・・と思い込んではいけないのだが、そうあって欲しい。

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2012年9月 5日 (水)

日本最北の電車を見に行く

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 今週は月曜日から旭川入りしている。北海道教育大学旭川校で、博物館情報メディア論の集中講義に、講師として来ているためだ。旭川教育大は12年ぶり、旭川駅前に至っては15年ぶりくらいの訪問で、講義が無ければいろいろと歩き回りたいところだが、集中講義の悲しさ、全く時間が無い。

 ただ、今日だけ夕方、少し足を伸ばして東旭川へ出かけた。


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 もう夕方18時近く、遠く大雪山が夕焼けで美しい時刻である。道がよくわからず、車を止めて住民の方に聞きながら訪れたときには、けっこう日が傾いて暗くなってきていた。

 車体が黒々としているように見えるが、実際は深緑色。この車輌、東旭川の農村改善センター構内に静態保存されている、旭川電気軌道の電車である。上屋は無いがけっこう保存状態が良く、外観はきれいだった。


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 旭川電気軌道は、昭和2年〜47年まで運行していた電気鉄道である。旭川四条駅から東川町にかけてと、旭山公園方面への二系統が走っていた。現在の旭川駅前までは通じていなかったというのが興味深い。

 この電車も「なんでこんなところに?」と疑問に感じてしまうような田園地帯の真ん中の公民館に保存されている。だが、もともとここは「役場前」という駅だったらしい。そもそも隣は「旭川市立旭川小学校」で、まさに真の「旭川」がこのあたりだったのである。


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 形式「モハ1000」。どことなく名鉄を思わせる「1000」の文字が、車体側面に大きく描かれている。こちらは車輌諸元と工場の入場記録だが、後から書いたものらしく、ずいぶんくっきりと書かれている(たぶんフォントは原型と異なると思われる)。一方、楕円形の製造銘板はどこにも見当たらなかった。


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 残念ながらワイパーが破損してぶらさがっていた。部品が無くなってしまわないうちに修理が望まれるので、関係部署へ連絡しておこうと思う。その他、窓の破れが少しだけ見られたが修繕されており、小学校の隣(というか電車を挟んで体育館があり、小学校の構内のような所にある)のせいか、保存状態は結構良くて、危険な箇所は見当たらなかった。


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車体側面に描かれた社章。「旭」が図案化されている。

 グラウンドで遊ぶ子供達の歓声に囲まれて保存される緑色の電車。収穫の迫った稲穂の揺れる水田地帯の農村改善センターは、旭川電気軌道ゆかりの駅跡だった。しかもこの電車、函館本線を超えて日本最北の「電車」なのである(これより北に電気鉄道は今も昔も存在しない)。
 前から一度訪れてみたいと思っていた事がようやく実現。のんびりした田園地帯に保存された電車が、いつまでも良い状態で愛され続けますようにと願い、夕暮れ迫る中を市内の宿へと引き上げたのであった。

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2012年9月 2日 (日)

ぶらり帯広→SLとかち→ばんえい競馬→旭川へ移動

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 今日は一日、野外での仕事が続いた。まずは午前中から「ぶらり帯広 えきなん〜みどりがおか」。帯広駅前の図書館を出発し、旧十勝鉄道線路跡や監獄通りを歩きながら歴史や自然を観察。緑ヶ丘公園で解散する行事で、いちどやってみたかったもの。この行事の良いところは、学芸員がなんと4人(民俗・歴史・昆虫・植物&鉄道)も参加し、それぞれが得意とする角度から散策区域のあれこれを解説すること。写真は歴史担当の学芸調査員大和田君が、十勝監獄の油庫(市指定文化財)を解説しているところ。


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 「ぶらり帯広」が正午に終了すると、午後はSLとかちの上り列車を撮影しに札内川へ。今日は撮影に来ている人たちを撮影することにする。C11 207の轟音が近づいてくると、騒いでいた子供も静かに。みんなで写真を撮ったり手を振ったりしていると、機関士や車掌も窓から手を振ってくれた。


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 SLとかち号を見送ったところで競馬場へ移動。昨日に引き続き「トロッコ見学会」解説の仕事。この見学会、実際にトロッコに乗れる!というのがウリで、通常のバックヤード見学会などでは見るだけ。今日も本州から来た多くの人たちに、ばんえい競馬軌道に触れてもらった。左端は競馬場側で今日の見学会を担当した徳田さん。おつかれさまでした。


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 夕方、ひとしきり仕事が終わった後で旭川へ移動。明日から北海道教育大学旭川校で集中講義の非常勤講師があるためだ。本当は帯広から富良野線経由で旭川まで、汽車で行こうと考えていた。しかし、荷物や現地での移動の事を考え、結局自動車で行くことに。19時頃に帯広を出て、駅前のターミナルホテルに入ったのは22時少し前。途中、富良野は花火大会で、きれいな花火を運転しながら見物できた。
 ほぼ15年ぶりに旭川駅前へやってきたが、その変貌ぶりにただただ驚く。宿舎となるターミナルホテルも今月末で閉店だそうだが、旭川駅舎が見下ろせ、汽車を見るには良い宿なのに、と思う。
 
 

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SLとかち号と競馬場軌道

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 今年もSLとかち号がやってきた。帯広を出て一路池田を目指すSLとかち号。


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 札内川の河原へ、列車を見送りに行った。畑にイスを出して孫と手を振るおばあさんや、カヌーの人たちがオールを立てて敬礼をしているなど、沿線の人たちの歓迎ぶりは昨年と変わらない。今年は幕別駅にも停車するようになり、さらなる歓迎を受けていることだろう。


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 午後は帯広競馬場内で、トロッコの見学・試乗会を開催。今年は宣伝がうまくいき、かなりの人数が集まって嬉しい。この見学会はSLとかち号の運行に合わせて2日も開催。大人も子供も、荷台に置かれた簡易座席に座って往復しているときは、とても楽しそうな声をあげていた。
 この軌道。おもちゃのようだが、ばんえい競馬のコースを現在の直線コースに変更する為に導入された、競馬場に欠かせない軌道である。いずれ産業遺産として学会に推薦したいと思っている。
 
 

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