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2012年5月14日 (月)

岩内仙境

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 国立科学博物館には、1958年5月11日に岩内仙境で採集されたヒメアマナの標本がある。帯広市内で採集された記録は、現在確認できている標本に関する限り、この岩内産標本と、昨年確認されたおびひろ動物園だけである。動物園のヒメアマナが開花したので、岩内の現状を確認しようと、14日の午後、岩内仙境付近を訪れた。

 探しに行っておきながら「あれ?あった」とは失礼な言い方になるが、見つかった。他に記録が見つからないので、実に44年ぶりの確認である。あるとしたらこの辺りだろうと思う環境を探しまわった結果、予想以上に小さな個体群だが、ちょど満開の時期を迎えていたので見つけられた。


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 生育環境は驚くほど動物園に似ている。やはり開けたコケのマット状。人が歩く通路のすぐ近くという点でも似ている。恐らく草刈りなどが行われているはずの場所で、その時期が開花期とずれている事が好条件として作用し、湿ったコケマットのおかげもあって生き延びているのであろう。管理主体の帯広市の担当部署へ、生育情報等を連絡しておこうと思う。


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 岩内仙境は戸蔦別川の上流に位置する日高山脈の麓。帯広市とは言え、市街地の緑ヶ丘公園とは、だいぶ気候の進み方が異なるようだ。小規模だが美しい渓谷があり、独特の植物も観察される。


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 崖にへばりつくように咲くユキワリコザクラの仲間。とても手の届くような場所ではなく、細かい同定ができないが、双眼鏡でじっくり観察して葉の形などを見る。ユキワリコザクラ、もしくはユキワリソウではないかと思う。これも満開の時期で、絶壁から水が滲み出しているような場所に咲いている。


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 同じく崖で花盛りのエゾムラサキツツジ。帯広では市内の公園に植栽されているものをよく見るが、本来の生育環境はこういう場所である。まだ緑の乏しい渓谷にあって、点々とエゾムラサキツツジの花が見える光景が誠に美しい。


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 これも崖の上部に多数見られたオクエゾサイシン。円い葉の根元にひっそりと咲く暗色の花が面白い植物である。ヒメギフチョウがこれらに産卵するのだそうだ。


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 フイリミヤマスミレ。このあたりのミヤマスミレは、ざっと見たところ皆このタイプだった。地質的に特殊な場所に多いらしいが、このあたりもその影響なのだろうか?とても小さい植物体で、よく見ると随所に花を上げていた。


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 さらに奥の林道沿いには、開花期を終えたばかりのキクザキイチゲがたくさん見られた。わずかに残った最後の花を上げる個体。


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 一方、岩内神社の境内にはヒメイチゲとカタクリが多数。渓谷を見下ろす斜面に花をつける。


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 今回、「おお!」と感動した植物のひとつがヤドリギ。なんでもない植物のようだが、帯広市街地ではまず見る事が無いのである。原因はわからない。今回、岩内神社の近くに立つカシワに着生しているのを見つけた。久しぶりのヤドリギ。ヤドリギ研究会の人たちに報告しておこう。


 
 

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