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2012年5月21日 (月)

足寄町のエゾヒメアマナ

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 苫小牧市博物館には、足寄町、本別町で採集されたヒメアマナ類の標本が収蔵されている。この標本を調査した上で、現在も自生しているか確認するため、足寄町へ探索にでかけた。

 足寄町は広い。なにせ十勝最大の町である。苫小牧の標本には字名が書かれており、これを頼りに、あとは帯広市2カ所の自生地などの環境を思い出して勘を頼りに探してみる。何カ所か回った後、ヤツは突然みつかった。


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 「なかなか見つからんなー、ここも無いか」と、移動するつもりで振り返ろうとした時、岩礫の上に小さな白い花が見つかった。白い・・・つまり、花が終わりかけているのである。ハッとして足下を見ると、か細い根生葉が見つかった。いつの間にか個体群に入り込んでいた。


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 この自生地は動物園や岩内仙境とは全く様子の異なる環境である。が、この自生地を発見して、エゾヒメアマナが本来どのような場所に生育していたのか、なんとなくわかった気がした。「あー、そういう事か」。私は少し勘違いをしていたようだ。

 実はこれまで、ヒメアマナ類は川がときどき氾濫して自然の攪乱が起きていたような草原状の林床に生育していたものと思っていた。おびひろ動物園や岩内仙境の自生地が、草刈りが入るような人為的に管理された環境だったからである。ところが実際には、おびひろ動物園、岩内仙境、それに大学院生の時に見ていた静内の北大牧場も、比較的、川から離れた位置にある丘陵上などに生育している。

 今回の足寄の生育地を見ると、ヤマハナソウが生えているような礫地の崖である。地下水が常に滲み出しており、コケが生えていて、このコケからエゾヒメアマナが生えていた。このコケが重要で、スポンジ状に水を貯えつつ、水はけの良い環境を提供している。元来はこのような場所に生えていたものが、動物園や岩内仙境では平らな場所にマット状に広がるコケの上に生えているのであろう。


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 ハリスゲ類も花を付けている。さまざまなスゲが開花しているが、いくつかは果実がつき始めており、スゲの季節が近づいているなあと感じさせる。


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 クシロワチガイソウ。斜面に点々と白い花をつけていた。


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 コキンバイも湿った斜面のところどころに花を咲かせている。この類いのバラ科植物はどうも苦手なのだが、コキンバイはわかりやすい。


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 コミヤマカタバミ。白いカタバミを見ると、山へ入ってきたなと思う。


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 チシマネコノメソウ。他にもツルネコノメ、マルバネコノメなどが咲いていた。なんだか春はネコノメソウの写真ばかり撮っている気がする。つい気になってしまう植物なのである。


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 エゾオオサクラソウ。林道沿いにたくさん咲いており、思わず車を停めて見入ってしまう。と、この周辺にアカスゲを見つける。初めて見るスゲで、なんだかとても嬉しい気分になって帰宅した。
 
 


  
  

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