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2012年1月

2012年1月30日 (月)

幸福駅の本当の誕生日を知る

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 第49回おびひろ氷まつりは、3日間の日程を終えて昨日で終了。たくさんの観光客が緑ヶ丘公園を訪れ、「南極の氷」を展示している帯広百年記念館も混雑した。


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 昼間にはさまざまなイベントが開催され楽しいが、今年は「夜の氷まつり」が開催され、アイスバーの開店が話題だった。20時30分〜22時という時間帯で営業。氷のカウンターと机で飲み物を飲む。


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 空には細い月。地上には、ゆらゆらと揺れる氷の中の蠟燭。両者の組み合わせが、凍てつく夜の空気に映えて美しい。


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 さて、大雪像は幸福駅舎である。「しあわせ駅舎」と読むが、モデルは旧国鉄広尾線幸福駅である事は明かである。

 その幸福駅。駅としての開設は1956(昭和31)年11月1日である。広尾線は1929(昭和4)年、部分開通を経て11月2日に帯広〜中札内間で開業。その後27年後の駅開設であるが、実際には広尾線開業で幸震〜中札内間に人口が増えて集落ができはじめ、この間に仮乗降場が設置された。幸福仮乗降場の設置であり、これが真の幸福駅誕生日である。


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 そこで百年記念館のロビーで、急遽、幸福駅の写真展を開催。あわせて、幸福駅に関する簡単な解説キャプションと、荘田喜與志氏撮影の昔の駅の写真を設置した。新潮社の『日本鉄道旅行地図北海道』によると幸福仮乗降場の設置は1956(昭和31)年と書かれている。いくつかのサイトやウィキペディアには「8月26日?」の文字もある。この本は大変詳しく、精度も高い資料だから日頃愛用しており、今回も特に何も考えず、この記述に従ってキャプションを作った。仮乗降場として設置してから2ヶ月ちょっとで駅に昇格という点に疑問も残ったが、まあ作ってしまった。ところが・・・


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 帯広百年記念館所蔵の道内の鉄道路線図。1952(昭和27)年に札幌の業者がカレンダーの付録として印刷したらしいものである。


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 この地図に広尾線が掲載されている。なので展示しようと思ったのだが、よく見ると「幸福(臨)」とはっきり書き込まれているではないか!1956(昭和31)年に開設されたはずの幸福仮乗降場が、なぜ1952(昭和27)年発行の、しかも民間の商店が出している地図に掲載されているのか?

 そこで、百年記念館や帯広市図書館が所蔵するさまざまな資料を調査してみた。鉄道関連文献には、幸福が駅として設置された1956(昭和31)年のみが書かれ、仮乗降場として発足した事には触れられていなかった。仮乗降場は鉄道管理局が設置するもので、時刻表にも掲載されないケースがある。鉄道関係図書に正確な記載が無いのならば、乗降場の存在した地域の記録にあたるしか無い。


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 そこで市史や部落史を渉猟していると、見つけた。まず『幸福開拓百年史』に詳しい記述が見られる。これによると、幸震(後の大正。1944年に改称)〜中札内間は約11kmもあり、中間に停車場を設ける悲願を達成するための運動が、広尾線開業以来ながく続けられていたらしい。

 1950(昭和25)年、国鉄の組織改正で釧路鉄道管理局が発足。この前年、幸福周辺に原々種農場ができて居住者が増えてきた為、「幸福乗降場設置期成会」が結成されて熱心な陳情が行われた結果、1950(昭和25)年1月20日付で釧路鉄道管理局より認可され、「住民挙げて欣喜雀躍した」との事である。この本には、乗降施設の建設や乗車券販売の責任者の氏名まで掲載されている他、1954(昭和29)年に「幸福乗降場昇格期成会」が発足して、1956(昭和31)年の駅昇格への原動力となった事も記されていた。

 また、北愛国町内会の有志が編纂した『北愛国駅三十年史』にも、「大正駅の南にある幸福駅には昭和二十五年一月二十日付で幸福二十八号五十米北方に、釧路管理局より幸福乗降場として設置が認められて住民たちに乗降りを使用されていた」との記述があった。 

 これらの事から、現在、「幸福仮乗降場」の設置年月日として、書籍やサイトで流布されている「昭和31年8月26日」は、誤りである可能性がきわめて高いと言える。あとは、これらの文献の元となる文書などの一次資料を探さなければならないが、まずは釧路鉄道管理局や帯広市大正支所を調べる必要があるだろう。

 もうひとつ、流布されている「昭和31年8月26日」とは何の年月日なのかも気になるところである。謎は深まり、興味は尽きない。

※なお、『大正村史』には幸福駅の設置年月日が1956(昭和31)年12月25日と記されていた。これは誤りだが、同日に士幌線で新駅の開業があり、それと混同したのかもしれない。
 
 
  
 


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2012年1月22日 (日)

昔の幸福駅と広尾線車内の写真

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 今年の「おびひろ氷まつり」の大雪像は、「幸福駅舎」だそうである。これはもちろん、あの幸福駅のことである。

 そこで急遽、ロビーに12月に開催していた幸福駅の写真を展示する事になった。私は幸福駅そのものの小さな解説を執筆。その際、参考として、幸福駅と広尾線の当時の写真を1枚ずつ展示することにした。これは荘田喜與志氏撮影の、昭和60年の幸福駅ホーム。


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 これも荘田写真。1956(昭和31)年の広尾線の車内である。

 この写真で私が注目しているのは車輌の形式。明らかに二重屋根である。また、車輌長も短く見える。車内照明や網棚の形状の様子など、総合的に見て1927年頃に製造された17m客車、オハ31系ではないかと思うが(写真手前の両側に車掌室等の壁と思われる部分が写っているからオハフ30?)どうだろう?広尾線における運用を調べてみなくてはいけないなと思っている。もし写真を見て形式のわかる方がいましたら、御意見お待ちしています。

  
 

 
 

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2012年1月16日 (月)

へその緒をじっくり観察

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 雪の上にハリエンジュ(ニセアカシア)の果実が落ちている。


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 こちらは雪が少しかかっている。いずれも、莢が開いて半身の状態で落ちていた。


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 手に取ってみると、種子がきれいに並んでおり、内縫線との間を「へその緒」が結んでいる様子がよく観察できる。さっそく拾い集め、館へ持ち帰って写真を撮り、今月の「緑ヶ丘公園イチオシ情報」に使わせてもらった。


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 まだ半身になっていない果実も拾ってきた。少し開いている。乾燥によって割れるのかなと思い、机に置いて観察しているが、なかなか開かないものである。もう乾燥しきってしまっているのかな。

  
 
 

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2012年1月14日 (土)

氷まつりの準備が進む緑ヶ丘公園

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 今日のグリーンパーク。夏には緑の絨毯になるグリーンパークも、いまは大雪原になっている。歩くスキーの人が練習に励んでいた。


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 名物の長〜いベンチも雪をかぶり、とても座れる状態ではない。壊れないか心配だ。


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 帯広市緑ヶ丘公園では、月末の氷まつりの準備真っ最中だ。十勝池のほとりでは、大雪像の準備が進んでいる。既に櫓が組まれ、雪を積んでいるところ。ダンプカーに積まれた雪が、次々と到着していた。


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 しらかばの小径沿いには、大雪像を担当する自衛隊の休憩所が建つ。「精鋭 第四普通科連隊」の赤い幟が立っていて面白い。


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 メインストリートには、雪を固めたステージがいくつも出来ていた。氷の彫刻を載せるのだろうか?


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 こちらは小雪像の準備だろうか?箱型の中に雪を詰めている。


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 ときどきショベルカーが雪を持ってきてザザーッと入れる。スコップを持った人たちが作業にかかる。こうして今月末の帯広市冬の祭典、氷まつりの準備が、今日も着々と進んでいるのであった。

  

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2012年1月13日 (金)

第30回郷土美術展はじまる

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 帯広百年記念館では、第30回郷土美術展が始まった。十勝圏各市町村に在住する方々から寄せられた90点以上の美術作品が一堂に展示される。


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 木彫りの観音様。まるで東京国立博物館の企画展みたいだが、これも出品された美術作品のひとつ。


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 第30回郷土美術展は帯広百年記念館2階特別展示室にて開催中。9:30〜17:00。29日まで。入場無料。


 
 

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2012年1月11日 (水)

ちょっとしたついでに都電の写真

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 横浜の博物館が各地の路面電車の写真を公募している。そこで、いくらかお送りしたのだが、それに際してついでに古いスライドを引っ張り出し、何枚かをスキャンした。今回は都電荒川線7504の写真。つい先日のような気がするが、撮影は1990年3月。実にかれこれ20年以上も前の写真である。月日が経つのは早い。


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 都電と言えば黄色いイメージがある。ただし私が初めて都電に乗った時、既にワンマン化がなされていて、同じ黄色でも赤帯ではなく青帯であった。特に7500形の丸みを帯びたスタイルは、都電全盛期のオリジナルな雰囲気を残していて好きだった。


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 専用軌道の多い荒川線だが、小台〜宮ノ前間は併用軌道だった。この区間には「軌道敷内通行可」の道路標識があり、車に囲まれてゴトゴトと走る都電の姿が面白かった。


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 こちらは荒川車庫前の専用軌道。手前の分岐線が車庫方面へ延びる線路。


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 7000形も順次車体更新され、新塗色に変化していった。集電装置がビューゲルからパンタグラフへと変わってきた頃。


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 記憶によれば、たしかこの日は、本来「一球さん」の愛称で親しまれていた保存車の6000形が運行されるはずだった。しかし車両不具合で運休となり、ピンチヒッターで7500形が出てきたのに運良く出会えたのだった。その後、小雨の降って来た中を乗り降りを繰り返しながら写真を撮り歩いたのを覚えている。こうして振り返ると、生物写真と共に、鉄道写真もやはり日常の風景こそが記録なんだなと思う。

  
  

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2012年1月10日 (火)

美しい梱包

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 帯広百年記念館では、12日から始まる第30回郷土美術展の準備に追われている。十勝圏内に在住する市民の方々の美術作品を、百年記念館で展示する催しである。その中で、広尾から到着した美術作品の梱包に、思わず感嘆の声を上げてしまった。


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 きっちりと厚紙で包まれた上に、ビニール紐による十字の縄がけ。筆で書かれた宛名。どれをとっても美しい。かつて国鉄の駅窓口で見られた駅留の鉄道小荷物を彷彿とさせる。


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 達筆な筆書きによる宛名。梱包本体に筆で宛先を書く習慣は、最近ほとんど見なくなった。


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 補強の為に天地にあてがわれた厚手の紙。きちんと大きさが揃えられ、角も丁寧に折られている。


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 この角のRが良い!内容物に合わせ、丁寧に折られていて美しい。


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 二重に回されている縄がけ。張りすぎず緩みすぎず、縛った紐も邪魔にならない程度に切り落とされている。きっと永年、こうして当たり前のように小荷物の梱包をしてきた方なのだろう。聞くと、広尾からの作品は毎年このような丁寧な梱包で送られてくると言う。我々学芸員も梱包は大事な技能なのだが、その原点を感じさせられる。思わず襟を正す、そんな気持ちよい感動を受けた、美しい梱包に出会う事ができ、幸せだった。

  

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2012年1月 3日 (火)

元旦、神社へ行ってみる

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 北海道神宮の境内に結ばれた御神籤。元旦の神宮は大勢の人々で賑わう。キリスト者の一人ではあるが、北海道総鎮守という大役へ敬意を表し、元旦の神社へお邪魔してみた。


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 鳥居をくぐり、手水で口をゆすぎ、二礼二拍手一礼で神に手を合わせる。日頃は無信仰を口にする人々が、なぜか元旦には神仏を参詣する。逆に言えば、信仰という意識を持たない程に、人々の心に浸透した、"習慣化した信心の為す業"とも言えるのかもしれない。


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 本殿へ向かう階段で振り返ると、ものすごい人である。恐らく北海道で一番初詣の多い北海道神宮では、警察官が出動して参詣者の整理に当たっている。

 キリスト教にも新年の礼拝やミサがあるが、初詣というものは無い。「詣でる」とは、何かを拝みに来ることだが、キリスト教は神に「祈る」のであって何か御神体を「拝む」ものではない。ことさら教会という場所に意味があるのではなく、共同で祈りを捧げる場として教会がある、という言い方が出来るかも知れない。神社に祀られている神を拝みに来る神道の参詣と、教会に集って祈りを捧げるキリスト教の礼拝との根本的な違いである。


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 キリスト者が毎週教会へ通うのは、信仰をつなぎ止める為の習慣とも言える。これに対して、特に日頃これと云った定められた信仰儀礼が無く・・・いや神棚の水を変えるとか、それなりに習慣はあるのだろうが、「毎週日曜日には教会へ通う」というような形での定式化されたものは一般的には無いという意味で、特に何もふだんする事が無いにも関わらず、正月には大勢の人々が神社へ参詣する。これは見方を変えると、実に心の底辺に力強く根付いた信仰である。無意識的に生じる行動ほど、人の心に染まっているものは無いからである。元来、信仰や宗教とはそういうものなのかもしれない。

 広々とした境内で、御神酒を頂きながら仰ぐ神社の大屋根、広い社殿は清々しい。生き続ける神社神道の神様にあらためて敬意を表し、参詣の列の後に続きながら、思索に耽る。楽しい時間、新しい一年の始まりであった。さあ、帯広へ帰ったら教会へ行こう。
 
 
 


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