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2011年11月25日 (金)

農業気象学会のシンポジウムへ行く

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 毎年、秋耕後の畑に雪が少し被ったこの光景を見ると、チョコレートに砂糖をまぶしたように見え、そんなはずは無いのだが、甘くて美味しそうな気がして仕方がない。24日、芽室町にある北海道農業研究センター芽室研究拠点へ行く途上、町内のとある畑についつい車を停めて、しばし眺めてしまう。


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 昼頃には晴れてきたので、雪もどんどん融けていくのだろう。右の緑色は秋まき小麦。「ホクシン」から転換した「きたほなみ」ではないかと思う。


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 道路の反対側の畑は未だ真っ白。防風林で日影になっているのだろう。


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 遠く日高の山々も白くなっているのが見える。長い冬に入ったんだなと思う。


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 北海道農業研究センターでは、24-25日、日本農業気象学会北海道支部会が開催されている。24日には公開シンポジウムが開催されて、私も「近年の気候変動と畑作影響」のシンポを聴きに来た。近年、十勝で問題となっている野良イモの研究をされている研究員の井上さんにお誘いいただいたのだが、このシンポなかなか勉強になり、お誘いを感謝している。

 「冬だ寒いぞ」と思いながらやって来たのだが、このシンポの話題は「温暖化」。最近の北海道は暖かくなってきており、それが小麦や豆類の生産に影響を及ぼしているのである。シンポジウムでは最近の気象状況と、それに対応した作況などについて報告があり、特に夏の高温と降雨が問題。その原因などについてはまだ研究途上のようだが、既に2010年の夏の高温で現実として生産現場には悪影響が出ていることを重視。従来の冷害対策だけでなく、温暖化を睨んだ栽培や育種の必要性をあえて議論したいという、非常に意欲的なシンポジウムであった。

 一般に、高温になると植物の生育は良くなると考えがち。しかし、北海道の畑作物は、雪解けから秋霜までの短い期間で生長・収穫できるような早生品種が主流で、これが高温になり過ぎると、収穫適量に至らないうちに成熟してしまったり、品質が劣化したりする。さらに、2010年の夏は高温に多雨が加わったのが特徴で、こうなると小麦は穂発芽、豆は莢内発芽という減少を引き起こす。ほかにも、病気が多発したり圃場状況の悪化で農業機械が入れなくなったり、さまざまな障害が起こる。ただ、温暖化の傾向が一定していなかったり、高温が問題なのか多雨の併発が問題なのかがはっきりしなかったり、まだまだ解明すべき課題が多い事も事実のようだ。


 発表者は若手研究者中心で、会場からもベテラン研究者を含む多くの方々から質疑があり、問題意識も深まった。研究目標の設定や、生産現場で困っている事などが率直に意見として出されており、質問者にも発表者にも高い問題意識が感じられた。なにより、生産現場を直視し、問題解決の糸口を探ろうとする若手農学研究者の真摯な姿勢に心打たれるものがあった。博物館人としても展示や講座を通じて、こうした研究の最前線を伝えて行かなくてはなあと強く感じさせられた。
  
 日本農業気象学会北海道支部のサイト http://phys.agr.hokudai.ac.jp/hsam/

    

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