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2011年10月 3日 (月)

愛国駅の展示で危惧されること

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 今日は月曜日で公休日。空気が冷たいが天気は良いので、前から行ってみたいと思っていた愛国駅の様子を見に行った。旧ホームに立つ駅名票。現役当時から使用していたものかもしれないが、フォントが少し異なる気もする。


19671

 今年の「氷まつり」で大雪像のモデルになった19761。かつては緑ヶ丘公園の児童会館横で保存されていたらしいが、今日来てみたら、児童会館に保存していた頃の写真が駅舎に展示されていた。冬にこの機関車の記事を十勝毎日新聞に執筆したのだが、この写真をお借りすれば良かったなと思った。


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 駅舎の中は広尾線関係の資料が展示されている。ここで目に付いたのが通票閉塞機。音更町の郷土資料室にも1台保存されていたが、中間駅では本来、閉塞区間の真ん中にある訳だから、上り方と下り方の閉塞を扱う為に2台が設置されていた。愛国ではきちんと2台が残っている。


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 閉塞用電話が右側に設置されているから、恐らくこれは2台並んで置かれていた閉塞機の右側に設置されていた方だろう。これは想像だが、駅舎の向きから行って、駅事務室の線路側に設置されていたのならば、この機械は下り方、すなわち広尾側の閉塞区間を扱っていた閉塞機と云うことになる。

 実際には広尾線廃止時点で愛国は1面1線の無人駅だったはずで、運転要員が最後まで残っていたのは隣の大正駅である。室内の展示品を見ても大正駅に関する資料があるので、恐らくこれらの閉塞機も大正駅で使用されていたものではないか?そうなると、この機械は中札内駅との間を連絡していた閉塞機ということになる。


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 こちらはもう1台の閉塞機。閉塞用電話が左に置かれており、上記の閉塞機の左側に設置されていたものだろう。したがって、大正駅と帯広駅を連絡していた閉塞機と推察される。


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 本来、2台の閉塞機は並べて設置されていたはずだが、スペースの関係で今はバラバラに設置されているのは、仕方がないとはいえ、とても残念な事ではある。それ以上に残念なのが・・・。


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 左右それぞれの電鈴部。閉塞機本体の上部にある木箱の上に付いている。閉塞機の操作をする際に、相手駅からの操作で鳴るものなので、上り線下り線それぞれの閉塞機の音を識別できるよう、並べて設置されている閉塞機の電鈴は、それぞれ異なる鐘が付けられていた。当時は3種類の電鈴が存在したはずで、形状から判断すると、左側(写真上)の閉塞機の電鈴は壺形電鈴、右側(写真下)の閉塞機の電鈴は鐘形電鈴だったのではないかと思う。ただ、残念ながら電鈴部本体(鐘の部分)が無くなってしまっていて、知っている人でなければこれが電鈴だったのだという事が見てわからない。管理している市の担当者も紛失に気がついていないのではないか?


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 さらに残念なのが資料展示。右端の2つの丸いのが、「玉」と通称された肝心の通票だ。しかしキャプションが無く、なぜか工具類の中に混ざって展示されてしまっているので、見た人は工具の一部と勘違いするだろう。これこそが通票で、あの閉塞機を操作する肝心要のモノなのだが(ちなみに、展示されている閉塞機は通票サンカクとヨンカクに対応していたが、通票はサンカクとマルだった)。


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 通票と離れた所に展示されているキャリア。通票を入れて運び、乗務員と駅長が受け渡しをする時などに使用するものだが、こちらの方が目立つので、これ自体を「通票(タブレット)」だと思っている人が存在する程、勘違いされやすいものである。


 通票、キャリア、2台の閉塞機と、せっかく3点セットが揃っているのに、展示で有効に活用されておらず、しかも閉塞機の部品は一部紛失してしまっている(さらに閉塞機自体が愛国駅ではなく大正駅のものだという事の説明も無い)。観光目的の施設なのだろうが、歯がゆい思いがしてならない。


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 その他、今回、資料を見ていて気になったのがこれ。「通信革袋」と言って、走行中の列車から線路で作業している保線区員へ、連絡用のメモなどを入れて投げ渡す時のものだ。かつては列車無線などの体制が整っていなかったので、列車で病人が発生した際、通過駅の駅員に救急車の手配などを頼む時にも、皮袋に入れて投げ渡したという話を聞いたことがある。実物を見たのはこれが初めてだった。


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 こちらは貨物列車のサボとも言うべき「荷票」。未使用品が展示されていた。しかし、蛍光灯や外光に永年さらされているので、表面が色あせてきてしまっている。通信革袋にしろ荷票にしろ、展示品はいずれも貴重な鉄道資料だと思うのだが・・・。


 こうした廃駅を利用した「鉄道資料館」なるものは各地に存在するが、資料が貴重な割には保存がぞんざいな場合が多い。きちんと保存されているうちに資料台帳の整備や保存方法の修復などを進める必要があるが、観光部局主体ではそれは困難だろう。やはり学芸員がきちんと保存の為の技術指導をするべきだと思う。計画を立てて今後取り組みたい課題である。
  
  

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