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2011年10月 6日 (木)

新得の旧狩勝線トンネルでヒカリゴケ

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 10月6日の北海道新聞と十勝毎日新聞で報道された、新得町のヒカリゴケ。石勝線が全通する以前の根室本線(滝川〜新得〜根室)が狩勝峠を越える際に使用していた、通称狩勝線の新内トンネルで、昨年の秋に発見されていたもので、この度、蘚苔類が専門である斜里町立知床博物館のU学芸員に同定依頼が来ていたものである。十勝管内ということで、私も同行させて頂いた。近年、十勝管内ではヒカリゴケの発見が相次いでおり、管内の状況把握と今後の同定やモニタリングの為でもある。


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 トンネルに付くと、入口の柵ごしに、なるほど緑色に妖しく光っている石がゴロゴロしている。結構まとまった群落で、その光はやはり美しい。


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 発光している訳ではなく、「原糸体」と云う組織の細胞がレンズ状に光を集めて反射しているものである。そのため、見る角度によって光ったり光らなかったり、光っている部分が変わったりする。


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 近づくと、個体の「葉」が確認できる。この葉の付き方、形状に、ヒカリゴケの特徴がある。


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 トンネル内には湿ったゴロ石がたくさんあり、その表面にへばり付いている。懐中電灯で照らしながら拡大した様子。立ち上がったヒカリゴケの茎葉が見える。ルーペで拡大し、ほぼ間違いないと判断。採集して、新得町役場の方が連絡しておいて下さった、北海道新得高等学校の生物・化学室へ移動。


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 実体顕微鏡で全形を観察して同定ポイントを確認。


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 観察する知床博物館のU学芸員。実は北大植物園での院生時代の先輩。花の咲く植物より隠花植物が大好きという人だが、最近は植物全般どころか粘菌などにも手を伸ばしているらしい。この段階で最終的に「ヒカリゴケで間違いなし」との同定結果が下された。


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 続いて、せっかくなので生物顕微鏡でヒカリゴケの「発光部位」である原糸体を観察。撮影装置が無いので、新聞社の方はカメラを顕微鏡へくっつけて頑張って写す。私も撮ってみた。


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 右上の丸っこいのが、原糸体を構成する細胞。この細胞が真ん丸で、レンズ状に光を集めるので、強い光が中の葉緑体(緑色の物質)に反射して、私たちには鮮やかな蛍光緑に見えるのである。私も含めて、その場に居合わせた役場、新聞社、高校の先生方みんなが感動を共有し、今日の仕事を終えたのであった。


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 ところで、十勝管内でも新得町に立ち止まった事はこれまで無かった(汽車で降りたことはあったが駅周辺にしか行かなかった)。いつも石勝線(新線)から眺めている畜産試験場の広大な草地に一度行ってみたいと思っていたので、午前中に線路近くまで車を走らせる。秋空にススキがなびき、広大な放牧地に馬が一頭、草を食む。


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 キンエノコロが風になびいて、黄金色の波を作る。穂に一粒だけ残った実がシルエットとなる。


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 残り少なくなった花を求めて蟲が彷徨う。十勝管内で二番目に広い面積を有する新得町は狩勝峠・日勝峠の十勝側の入口で、山麓の町である。やはり山に近い所は冬が近い事を実感する。折しも新ソバの収穫後だったので、昼食は二人で蕎麦屋を訪ねた。

  
  

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