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2011年8月26日 (金)

博物館実習が終了

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 10日間の博物館実習が終了した。今日は午前中に植物標本のマウントを実施。19日に緑ヶ丘公園内で採集した自分たちの植物標本を、ラベルを作製して台紙に貼る。学名の書き方、ラベル作製の為のインクや紙などの素材、貼付の際の留意点を実習した上で、地域博物館における植物標本の収蔵法について簡単に解説し、最後に標本の利活用について話した。


 午後は小学校の団体見学が入っていたので展示解説。実習生も後ろから解説を見学した。今日は団体来館が多く、しかも時間が重なっていて、微妙に常設展示室で団体同士がかぶってしまう。うまくこれを避けながらの展示解説が終わると、急に館内が静かに。


 その後、実習生は指導学芸員と館長を交えた反省会をして終了。実習日誌を書いた後も、5名の実習生はなかなか帰らない。道内3校、東北1校から来た実習生は、すっかりお互い仲良くなれたようだ。閉館時刻を過ぎて最後に事務室へ挨拶に来た3名は、口々に「良い経験となった」と話していた。少しは実習として実りのあることができただろうか?と安堵する。
 

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 毎年のことだが、博物館実習生を指導していると、自分の実習の頃を思い出す。幌加内町農業研究センターで臨時研究助手をしていた頃、玉川大学文学部教育学科の通信教育課程で学芸員資格を勉強していた私は、夏に休暇を頂き、横浜の実家を足がかりとして、東京都町田市にある玉川大学教育博物館へ博物館実習に行った。玉川大の通教生の実習先は、この教育博物館と決まっていたのだ。


 当時、私は植物担当の学芸員になりたいから、自然史系の博物館へ実習に行きたいと思っていた。玉川大学は附属の教育博物館しか実習が認められないと知り、内心不満に思っていた。ところが、いざ実習に行ってみて感じたことは、「自分の専門以外の博物館で実習する方が良い経験になる」ということだった。


 考えてみれば当然である。なぜなら、自分の専門に関する資料の取り扱い方法などは、博物館実習以前に自分自身が日頃の大学生活で身につけるべきことだからである。自然史資料の展示などについても学ぶ気があればいくらでも自分の大学周辺の環境で学ぶことができる。


 しかし、専門外の実習は大学にいてもまず学ぶ機会が無い。あったとしても、どうやって門を叩いたら良いのかのキッカケがわからない。そこへ行くと博物館実習でカリキュラムの一環として古文書修復や絵画の展示、保存科学の器具測定や写真撮影などを経験できるのは、またとない機会なのである。


 そして、一度博物館実習で体験すると、後々、必要なときに記憶が甦ってくる。もちろん全部は思い出せない。しかし、キーワードのような手掛かりが頭に浮かんでくるようになる。それを頼りに、専門的な文献を見たり問い合わせをしたりすることが出来る。必要なら、教育博物館へ相談の電話をしても良い(この博物館は実際、資格取得後の通教生の為に、常に相談にのってくれる)。誠に頼りになり、後々になって実になる実習が博物館実習なのである。
 
 
 
 こうした事を振り返った上で、今の博物館実習を思い返してみる。あのとき、自分が抱いた感動のようなものを、自分の指導した実習生たちは味わうことができただろうか?カリキュラムで欠けていたものが無かっただろうか?と自問する。いつになっても、学生たちを指導するのは楽しい。特に、「学芸員になりたい!」という明確な意思を持つ学生、「学芸員や博物館に興味がある」とやってくる学生には、勝手ながら我が事のような愛着を抱いてしまう。


 必要以上の感情移入は教育にとって逆効果だが、自分の経験を振り返ってみても、学芸員課程の教育を担当する者としても、学芸員を志そうという学生には真剣にその手助けをしたいと思うし、少しでも充実した実習で良い経験をしていって欲しいという気持ちを強く持ってしまうものだ。


  今、学芸員への道は本当に厳しい。かつてのように正規職員での公募よりも非正規雇用としての公募が増えている現状では、人生設計の観点からも、安易に勧められる道でもない。その点を踏まえ、実習では実技だけでなく、学芸員採用試験の現状や雇用の実態などにも触れるように努めてきた。


 実習日誌にコメントを書きながら、自分の実習指導を振り返り、反省点を探す。反省点を活かして、次はさらに良い実習ができるように努力したい。少なくとも、その気持ちだけは大切に持ち続けて行きたいものである。
 
 
  
 実習生の皆さん、10日間の実習おつかれさまでした。そして今この時期、全国の博物館で同じように実習に励んでいる博物館実習生の皆さんにも。実習が終わって再び各大学へ戻ったら、次は卒業論文の為に頑張って下さい。卒論をきちんと仕上げること。これが学芸員を目指す第一歩です。
  
  
  

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