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2011年4月25日 (月)

新しい植物標本作製キットを使ってみた

 帯広百年記念館には熱風循環式乾燥機が無い。そのため、植物標本は毎日吸水紙(新聞紙)を交換するという昔ながらの方法で製作している。しかし、フロラ調査で標本が大量になってくると、この方法では限界がある。
 博物館実習の植物専攻を教えている母校の酪農学園大学には、実験圃場温室に乾燥機があるのだが、日頃は使えない。酪農学科が草地学などで飼料作物の乾草を作るのに常時運転しており、とても標本作成用にお借りするゆとりは無い為である。

 そんな中、今春の日本生態学会札幌大会の会場にて、新しい植物標本作製キットが展示されていた。日本ヴォーク社製のもので、標本作製・標本保存に関する用具が揃ったセットとなっている。詳しく見ているうちに、「ああ、これはウチに必要だ」と思うに至った。ちょうど酪農学園大学で博物館実習の教材費を組む時期だったので、さっそくこれを購入品リストへ加えた。
 そのキットがようやく到着したので、さっそく使ってみた。


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 首都大学東京の牧野標本館と共同開発したという日本ヴォーク社の「原色植物標本キット」。花の色がよく残るという吸水紙と、空気圧で圧するという点が特徴。

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 吸水紙は「乾燥マット」の名が付けられている。このマットに植物を挟んだ新聞紙(標本紙)を挟み込み、付属のゴムバンドでしばる。これを二重のビニール袋へ入れる。乾燥マットは吸湿しやすく、一連の作業を15分以内にするのが目安という。

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 これを「エアープレッサー」と呼ばれる、やはりビニール製のものに挟み、「給排気ポンプ」を接続する。

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 ポンプで空気を送り込むと「エアープレッサー」が膨らんでくる。この空気圧で圧す。重しで圧すよりも軟らかい感じの圧し方になることが想像されるので、この点も仕上がりに影響してくるのだろう。
 後は数日待つだけ。吸水紙の交換が要らないのが助かる。

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 さて、キットに付属の「乾燥マット」は6枚しか無かった。今回の仕上がりを見て、良かったら追加注文しようと思うが、当面は全く足りないので、従来の方法を併用。

 これは、乾燥マットを繰り返し使う為に、毎回乾燥させる為の段ボール板。熱風循環式乾燥機での標本作製にも使うが、「ん?よく見ると何か違う」。

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 段ボールの波の部分の向きが違うのである。いつもなら、長辺に波が来るように切った段ボールを使うが、これは短辺に波が来ている。

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 これが乾燥マットを再乾燥するための「再乾燥機」と「再乾燥機専用袋」。いわゆる布団乾燥機と同じ原理であり、実際、布団乾燥機を用いた植物標本作製法は各地で実践されている。私も、帯広に熱風循環式乾燥機が無いのを知って、標本用に布団乾燥機を買おうと思っていたところで、まさに渡りに船というところ。

 本来は乾燥マット再乾燥用だが、これらを用いても標本を作ってしまおうと考えた。

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 板段ボールと標本紙を交互に挟んでいく、いつもの作業。

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 板段ボールと標本紙の束。ゴムバンドで縛るか重しを載せるかだが、野冊に挟んでみた。

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 野冊ごと「専用袋」へ入れる。

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 この袋の口径の関係で、段ボール板を置く向きが本来は再乾燥機に向かって縦置きならしく、それで段ボールの波の向きが短辺なのだ。熱風が通る向きだからである。しかし、今回は枚数がそれほど無く
当館所有の段ボールの波は殆ど長辺に並んでいるので、半ば無理矢理、横向きに入れてしまった。

 専用袋と再乾燥機を接続。

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 再乾燥機のプラグをコンセントに接続し、電源を入れる。温風が吹き出し、専用袋へ流れ込む。段ボールの波を通って、温風が袋の底から排出される。この過程で標本が少しずつ乾燥していくはずだ。

 これは熱風循環式乾燥機での作り方よりも、扇風機(冷風)を当て続けて乾燥する海藻標本の作り方に近いように感じる。再乾燥機にはタイマーが付いていて、最大9時間連続運転できる。さあ、仕上がりはどうなっているでしょうか?その結果は後日。


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