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2011年4月

2011年4月30日 (土)

北大構内で酪農学園大学の博物館実習

 酪農学園大学の博物館実習(学内実習)で植物専攻を担当している。今年の植物専攻は5名。酪農学科1名、獣医学科1名、地域環境学科3名の5名だ。みんな学部や卒業論文のテーマなどはバラバラだが、学芸員資格を得るための実習コースとして植物を選択してきた人たちだ。去年は2名だったので、今年はずいぶんと人数が多い感じ。

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 先週の第1回目は江別市の酪農学園大学で実施した。本当はこの日に酪農学園校内で植物採集の実習をしたかったのだが、あいにくの雨天で中止。今週は札幌市の北海道大学総合博物館での実習だが、先週に積み残した植物採集実習を、大学キャンパスで実施した。自分で採集した植物を標本に仕上げる過程を学んで貰うためのものである。


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 高枝切りバサミを使った樹木の採集。花の咲いている樹木の枝を、この道具で採集する。採集部位や時期、標本へ仕上げるポイントなどを解説する。

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 カツラの雄花は既に終盤に。すっかり花粉が抜けて、葯がしおれた感じだったが、花としての形がよく残っているので採集した。


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 カツラの雌花を採集。こちらは満開。枝先が赤く燃えている。カツラなど樹木の花を見る機会はやはりみんな少ないらしく、珍しそうに見ていた。


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 採集した植物を、博物館の玄関前で新聞紙に挟む。いわゆる「標本紙」となる新聞紙への採集情報の書き込みや、乾燥機へ入れるための段ボール板の使い方などを教える。植物標本づくりは昆虫標本などに比べると粗っぽいが、それでも少しポイントを抑えると美しい仕上がりに変化する。

 挟んだ植物は乾燥機に投入。来週は、ラベルを作製したりソーティングしたりという実習と、晴れていれば植物園見学を行う予定。毎年のこの実習、いろいろな学生さんと触れ合えて楽しい。

 酪農学園大学はキリスト教主義の大学なので、実習の最初と終わりには感謝の祈りを行うこととしている。折しも復活祭前後に始まった今年の実習。どうぞ実り多きものとなりますように。

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若葉の森・大山緑地観察会

 4月29日は旧みどりの日。今は昭和の日で、かつては昭和の天皇誕生日だった。昭和天皇は自ら植物学を御研究されていたので、みどりの日とされたと言われる。

 だからという訳では無いと思うが、29日に「大山緑地」とその裏手にある「若葉の森」の観察会が開催された。「大山緑地と若葉の森を愛する会」の主催による「春の観察会2011」。若葉の森には未だ入ったことが無かったので、私も見学させてもらった。

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 道路の高架をくぐって小川が流れており、小川に沿って進んでいくと、ちょっとしたヤチダモ・ハルニレ林が広がっていた。ジトっとした空間に春の植物が咲き始め、気持ちの良いところだった。


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 案内役はズコーシャの堤さん。出会う植物ひとつひとつについて、丁寧に解説をしてくれる。他にもエゾサンショウウオやエゾアカガエル、昆虫などについて詳しい。参加者は熱心に聞き入り、写真を撮ったりメモをしたりしていた。


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 水中にはワサビが咲き始めていた。

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 別名「十字花科」と言われるアブラナ科独特の、4枚花弁。6本の雄蘂もよくわかる。


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 この日はエゾサンショウウオの卵塊の他、成体や越冬幼生も観察することができた。みんな興味津々でのぞき込み、自分も見つけようとしてみたり。


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 もう一人の案内役の、帯広畜産大学の辻先生。環境工学がご専門で、大山緑地の乾燥化の水位変化を観測し、乾燥化防止に取り組んで居られる。

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 段丘斜面から湧き出る水を、ホースで大山緑地へ流し込んでいるという。辻先生の研究室の学生さんも参加されていて、解説をしたり、ここを舞台とした卒論の内容を話していたりした。


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 水源近くではネコノメソウが開花していた。今年初のネコノメソウで嬉しい。

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 ツルネコノメも開花。こちらも今年初で、やっぱり嬉しい。

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 ツルネコノメソウの花を拡大。小さな花が可愛らしい。やはりネコノメソウ類は好きだなあ。


 この後、大山緑地へ降りて観察。なかなか面白かった。ネコノメソウのあった水源地近くは、今後もいろいろ出てきそうなので、また行ってみようと思う。

 午後からは再び講義の関係で札幌へ。スーパーとかち6号は予想以上に空いており、連休初日なので心配になる。札幌駅も賑わいが無く、やはり自粛ムードなのか?


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2011年4月28日 (木)

ツクシ立ちスゲが咲く

 風邪をひいてしまった。しかもかなりオーソドックスな風邪で、熱は出ないが鼻水がひどいのと喉が痛いという古典的な風邪である。まあ、大丈夫だろうと思っていたのだが、他の職員に伝染してはいけないという事もあるし、十勝の病院をどこか決めておこうという思いもあって、昨日は早退して病院へ行った。
 
 ちなみに札幌に居たときには、病気になると「札幌鉄道病院」(今は「JR札幌病院」と名前が変わったらしい)へ行っていた。駅の中の売店がキオスクだったのが鉄道病院という感じで面白かった。

 十勝勤医協帯広病院までフラフラと歩いて行ったのだが、緑のセンターの近くで名前のよくわからない樹木の開花を見つけ、病院付近ではオオイヌノフグリの青い花が満開な場面に出くわした。どちらも採集したいのだが、そんなことをしては病院の帰りにまた百年記念館へ戻らなくてはならなくなる。もどかしい思いで通り過ごす。数日後、あらためて採集に来ようか。

 さて、緑ヶ丘公園のフェノロジーは、最近どうも華々しい進展が無い。ヤナギ類の開花が進んでおり、同定を進めているところ。他にはハルニレが咲き、カツラも開いてきた。植林のカラマツも花が開いてきた。まあ、たしかにフェノロジーとしては進んでいるのだが、以前から確認しているこれらの他に、新たな種の発見が無い。
 緑ヶ丘公園以外では、ヒメイチゲ、エゾエゴサクなども開花しているというし、帯広の森では14日にウラホロイチゲ開花したとのことである。しかし、どうも緑ヶ丘公園内では、これらの種が見つからない。特に、エゾエンゴサクなど、この程度の規模の公園なら1株2株はすぐに見つかると思うのだが、今のところ1株も見つかっていない。不思議でならない。

 とりあえず、昨日確認した様子なのだが、最近の様子を書き込んでおこう。

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 植栽のエゾムラサキツツジ。園内の各地に植えられており、咲き始めている。


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 カヤツリグサ科のスゲ属2種が開花。園内の至る所で穂を上げている。果実期に入ったら採集し、同定しよう。


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 フッキソウ。帯広の森からは開花の一報が入った。緑ヶ丘公園のものも、ずっと以前から気にしているのだが、微妙。ほぼ開花なのだが、葯がまだ開いて居らず、咲いているとは言えない気がする。1個体くらい開いているモノがあるのでは?と思ったが、見事にどれひとつとっても葯はピタリと閉じている。ただ、雌花が開いている個体もあり、その点では開花と言って良いのかな。「フェノロジー記録簿」には、「4月27日雌花開花」と記録しておく。


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 カツラが開花。まだ開いていないものが多く、開花始めと言ったところ。樹高が高く、なかなか良い標本が採れない。これは児童会館前の植栽のカツラ。他にドロノキも開花しているのだが届かず。うーん、木本採集方法を本格的に検討しないと。


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 公園東通り沿いの通称「ひなた川」ではツクシがたくさん立っていた。いわゆるスギナだ。水中から立っているモノ、畔の草むらから立っているモノなどいろいろ。昔、卵とじにして食べたことがある。


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 27日は十勝池で噴水が運転開始。ボートも出されて試運転(?)していた。


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 公園を散策する人たちが見守る中、池の畔の滝からも水が出された。カラカラだった水路に水が入り、エゾノリュウキンカやミズバショウも嬉しそう。


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 エゾノリュウキンカは24日に開花を確認している。ミズバショウはさらに1週間ほど前から本格化。行楽シーズンを前に、緑ヶ丘公園が公園としての体裁を整えつつあるようだ。

 早く風邪を治して調査を続行しなくては。


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2011年4月25日 (月)

新しい植物標本作製キットを使ってみた

 帯広百年記念館には熱風循環式乾燥機が無い。そのため、植物標本は毎日吸水紙(新聞紙)を交換するという昔ながらの方法で製作している。しかし、フロラ調査で標本が大量になってくると、この方法では限界がある。
 博物館実習の植物専攻を教えている母校の酪農学園大学には、実験圃場温室に乾燥機があるのだが、日頃は使えない。酪農学科が草地学などで飼料作物の乾草を作るのに常時運転しており、とても標本作成用にお借りするゆとりは無い為である。

 そんな中、今春の日本生態学会札幌大会の会場にて、新しい植物標本作製キットが展示されていた。日本ヴォーク社製のもので、標本作製・標本保存に関する用具が揃ったセットとなっている。詳しく見ているうちに、「ああ、これはウチに必要だ」と思うに至った。ちょうど酪農学園大学で博物館実習の教材費を組む時期だったので、さっそくこれを購入品リストへ加えた。
 そのキットがようやく到着したので、さっそく使ってみた。


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 首都大学東京の牧野標本館と共同開発したという日本ヴォーク社の「原色植物標本キット」。花の色がよく残るという吸水紙と、空気圧で圧するという点が特徴。

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 吸水紙は「乾燥マット」の名が付けられている。このマットに植物を挟んだ新聞紙(標本紙)を挟み込み、付属のゴムバンドでしばる。これを二重のビニール袋へ入れる。乾燥マットは吸湿しやすく、一連の作業を15分以内にするのが目安という。

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 これを「エアープレッサー」と呼ばれる、やはりビニール製のものに挟み、「給排気ポンプ」を接続する。

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 ポンプで空気を送り込むと「エアープレッサー」が膨らんでくる。この空気圧で圧す。重しで圧すよりも軟らかい感じの圧し方になることが想像されるので、この点も仕上がりに影響してくるのだろう。
 後は数日待つだけ。吸水紙の交換が要らないのが助かる。

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 さて、キットに付属の「乾燥マット」は6枚しか無かった。今回の仕上がりを見て、良かったら追加注文しようと思うが、当面は全く足りないので、従来の方法を併用。

 これは、乾燥マットを繰り返し使う為に、毎回乾燥させる為の段ボール板。熱風循環式乾燥機での標本作製にも使うが、「ん?よく見ると何か違う」。

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 段ボールの波の部分の向きが違うのである。いつもなら、長辺に波が来るように切った段ボールを使うが、これは短辺に波が来ている。

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 これが乾燥マットを再乾燥するための「再乾燥機」と「再乾燥機専用袋」。いわゆる布団乾燥機と同じ原理であり、実際、布団乾燥機を用いた植物標本作製法は各地で実践されている。私も、帯広に熱風循環式乾燥機が無いのを知って、標本用に布団乾燥機を買おうと思っていたところで、まさに渡りに船というところ。

 本来は乾燥マット再乾燥用だが、これらを用いても標本を作ってしまおうと考えた。

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 板段ボールと標本紙を交互に挟んでいく、いつもの作業。

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 板段ボールと標本紙の束。ゴムバンドで縛るか重しを載せるかだが、野冊に挟んでみた。

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 野冊ごと「専用袋」へ入れる。

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 この袋の口径の関係で、段ボール板を置く向きが本来は再乾燥機に向かって縦置きならしく、それで段ボールの波の向きが短辺なのだ。熱風が通る向きだからである。しかし、今回は枚数がそれほど無く
当館所有の段ボールの波は殆ど長辺に並んでいるので、半ば無理矢理、横向きに入れてしまった。

 専用袋と再乾燥機を接続。

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 再乾燥機のプラグをコンセントに接続し、電源を入れる。温風が吹き出し、専用袋へ流れ込む。段ボールの波を通って、温風が袋の底から排出される。この過程で標本が少しずつ乾燥していくはずだ。

 これは熱風循環式乾燥機での作り方よりも、扇風機(冷風)を当て続けて乾燥する海藻標本の作り方に近いように感じる。再乾燥機にはタイマーが付いていて、最大9時間連続運転できる。さあ、仕上がりはどうなっているでしょうか?その結果は後日。


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2011年4月18日 (月)

パソコンを打ち続けながら博物館を思う

 saveMLAKプロジェクトでは、被災地域を含め、全国の博物館・図書館・文書館・公民館のリストをwikiで公開する作業を進めている。既に情報は掲載されており、この誤りを修正したり、未入力情報を入力したり、決まったフォーマットに揃えるという作業が繰り返されている。全国で現職の学芸員、司書、アーキビスト、社会教育主事をはじめ、多くの研究者や学生、OBなどがボランティアでこうした作業を実施している。

 地道で息の長い作業の連続と、メーリングリストやツイッターでの延々と続く情報の解析や意見のやりとり。その情熱の原動力は、「資料を守ろう」「社会教育を守ろう」という専門職としての誇りと連帯感が支えている。ミュージアムなんとかといった形だけの安易な教育プログラムや、原発事故後ぱったりと姿を消してしまったサイエンスなんとか、ではこうはいかないと思う(ミュージアムなんとかやサイエンスなんとかの学生さんすみません、学生さんに責任がある訳ではありません)。

 私も微力ながらsaveMLAKの活動に加わっているが、こうして作業に加わりながら、あらためて博物館とか我々学芸員のような専門職のあり方を深く考える、良いきっかけになっているなあとつくづく思う。いまの私にはこれくらいしか協力できないし。

Savemlak

 さて、今回は東京都内の施設に関する既公開情報をフォーマットに揃える作業。前夜、明日(つまり今日)が休みだったので、少し頑張ろうという意気込みもあり、データ数の多い東京を選んだのだが、案の定、なかなか大変であった。昨晩は入力途中にいつの間にか眠ってしまった。早朝に起き出してコーヒーを呑みながら入力再開。ときどき休憩がてらネットでニュースやツイッターを見たりしつつ、「昼前には終わるな」と踏んでいた作業がなかなか終わらない。

 窓の外では24日の統一地方選挙後半戦に向けた選挙カーが行き交う。陽も高くなってきて、少し気温も上がったので、ラジオの電波が入りやすいようにベランダへ机を出して外で入力。すぐ下を2台の選挙カーが道を譲り合いながら行き違い、お互いにエールを送っている。選挙カーに手を振って様子を眺めたりしながら作業を続けていたら、15時過ぎにようやく終わった。

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 雪まで降った強風で寒かった昨日と異なり、今日は良い天気。植物採集に行こうと思っていたのだが、ずっとパソコンを打ち続けていてさすがに疲れ、採集した後に新聞紙に挟んだりする作業を思うと面倒くさくなってしまった。そこで、買い物を兼ねて散歩に。

 パール温泉近くの民家の庭先で白いアブラナ科を発見。シロイヌナズナのようにも見えるが、遠くてよくわからない。入っていって採集したいが、民家の庭に勝手に立ち入りは出来ない。嘱託職員とは言え市役所の人間だから、「フロラ調査のため、十勝のため、ひいてはお国のためである」と言って強制執行で押収することも出来るかも知れないが、それでは小林多喜二を虐殺した帝国官憲と同じになってしまう。他にも無いだろうか?と歩道をかがみごしに探している脇を、「こんにちはー」と元気に挨拶をしてくれつつも不審な顔をした小学生が二人、軽やかに走り抜けていった。

saveMLAK http://savemlak.jp/wiki/SaveMLAK

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緑ヶ丘に眠る貨車2つ

 散歩のついでに、かねてから気になっていた近所の廃車をじっくり見に行った。廃車と言っても自動車ではない。もちろん鉄道車輌、それも貨車のことである。帯広市緑が丘の廃車2種類を御紹介。

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 春駒通りから、ちょうど緑ヶ丘のスーパー「いちまる」へぶつかる交差点まで、不思議な歩道が延びている。車道の横に、一段高くなった、やけに幅の広い歩道。実はこれ、線路跡だと思っている。
 昭和30年代くらいの帯広地図を見ると、駅裏手から稲田方向へ伸びる十勝鉄道とは別に、緑ヶ丘公園を挟んで西側に、現在の自衛隊敷地へ向かって伸びる引き込み線が描かれている。引っ越してきたばかりの頃にこの辺を歩いていて偶然この道にぶつかった時、これはクサイと思っていたのだが、以前に藤丸さんで開催された昔の写真展を観に行った際に地図を確認。これだと確信したのだった。

 まあ、その線路跡の考察は後日じっくり解説するとして、この道路近くに2両の貨車がいる。

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 全体が鳶色(とびいろ)に塗られているが、元来は真っ黒だったはずだ。屋根の形状や全長などから、旧国鉄の17t貨車ワラ1形ではないかと思う。塗りつぶされた形式や配置区などの表記跡を探したのだが、残念ながら全く見つからなかった。

 いわゆる黒屋根貨車と呼ばれた一群の代表形式で、有蓋車の一種。有蓋車とは「天蓋」つまり屋根のある貨車のこと。現在はワム80000形が唯一のJR有蓋車なのだが、塗色はまさにこの鳶色。元黒屋根貨車がワム80000の色に塗られているところがおもしろい。


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 こちらは、リサイクルショップおおぬまの店頭にデーンと置かれているヨ8000形車掌車。凸形の形状から一目で分かる。これも黒屋根貨車だったが、現在は明るいオレンジ系の色に塗られている。この色はアメリカの車掌車(カブース)などでよく見る色であり、それをイメージしているのかもしれない。

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 リサイクルショップ「おおぬま」なのに、函館本線「大沼」ではなく根室本線「大楽毛」の駅名票(本物)が貼り付けられているのが面白い。が、興味深いのは形式が「800」になっているところ。元来は「ヨ8000」なのだが、ヒトケタ減らされている。車輪こそないが、尾灯も残っており、原形がよくわかる。

 現在の貨物列車には車掌車が連結されていないが、変圧器輸送の「特大貨物列車」や、JR線を使って私鉄の新車を工場から運ぶ際の「甲種仕業」と呼ばれる列車には連結されることがある。輸送監視にあたる作業員の添乗用や、機関車が巻き上げる粉塵で新車が傷つかないように、機関車次位に連結する控車として用いられている。これらに使う車掌車は今もヨ8000形だ。

 ヨ8000形は、二軸貨車で始めてトイレを設置した、近代化車掌車として知られる。三笠鉄道公園など、道内数カ所で保存されいるが、十勝圏には無かったと思う。
 
 これら2形式3両の貨車達。パール温泉やスーパーいちまるへの往復の際、ついつい立ち止まって眺めてしまう愛すべき近所の廃車体なのである。

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2011年4月16日 (土)

増補新版北海道樹木図鑑

 今日は珍しく外へ出ず、1日中館内に居た。午前中は北沢館長(4月から館長が前任の松井館長定年退職により北沢副館長が館長になった)と、2階の雨漏り箇所に簡易雨樋を設置。ビニールシートを帯状に貼っただけだが、雨漏りをバケツへ誘導するには十分効果がある(はず)。

 昼から雨。天気予報どおりなので、元々今日は室内作業をする予定だった。とは言え、標本紙を交換したり野帳を整理したりしているうちに時間はどんどん過ぎる。本当はデスクワークをもっとしようと思っていたのだが・・・。

 夕方、雨の中を旭川の新田さん(道立林業試験場)が、この度改訂となった『増補新版北海道樹木図鑑』を届けてくださる。明日、トマムで行われる梅沢俊さんの講演へ行くらしいが、今日はこれから南十勝方面へ抜けるのだとか。わざわざお立ち寄り下さり恐縮。ありがたく受け取る。

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 亜璃西社から発行されているこの佐藤孝夫さんによる図鑑の使い心地は上々。学部生時代から愛用しており、草本の『北海道の花』と並んで、北海道の植物学習テキストの定番である。1990年の初版発行以来、今回で大改訂は6回目になるとか。タネのページが新たに加わっている。面白い試み。

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 今回で大改訂には一区切りだそうだ。この20年間で何度も改訂がされ、その度に支持者を増やしてきた図鑑。恐らく今、北海道の第一線で活躍している学芸員や研究者、環境アセスメント関係者をはじめ、植物好き市民や学生は、この図鑑で樹木を学んできたことだろう。北海道大学出版会からも樹木図鑑を出しているのだが、とうに白旗を揚げている状態でちょっと微妙。だが、実際、葉で引く図鑑として、フィールドではこちらの方が使いやすいのだから仕方ない。

 さらに閉館頃には大山緑地を守る会の柴田さんが来館。今月末に緑地で植物観察会をしたいらしい。またフロラリストなどを整えたいとのご意向。つい昨日のブログで、「大山緑地は調べている人がいろいろ居るみたいだから私はいいか」みたいな事を書いたばかりなので、早速の方針転換を迫られているような・・・。

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 郵便物では知床博物館の内田学芸員から紀要と『知床の自然保護』『知床データブック2010』が届く。紀要の表紙デザインが変わり、モノクロ基調の美しい感じに。「網走市のシダ植物リスト」「北海道北東部,遠軽町周辺のシダ植物組成−ヤマヒメワラビの北海道と長野県との隔離分布」など興味深い論考が多数。

 苫小牧市博物館の小玉学芸員からは電話。津波被害は大丈夫だったとのことで一安心。日高地方では、ヒナスミレが咲き始めているとのこと。

 という訳で、お客さまがみえたり、本が届いたり、電話が来たりな、ゆったりとした雨の一日でした。

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2011年4月15日 (金)

森の里小学校総合学習

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 帯広百年記念館では、帯広市立森の里小学校での総合学習を受け持っている。この小学校は「帯広の森」に隣接しているが、校内にも小さな森がある他、ビオトープ作りが行われている。このビオトープや小さな森を使い、植物や昆虫を観察する半年間の学習プログラムを、先生方と学芸員との共同で練っている。とは言え、まだまだ試行錯誤の連続とのことで、始めてみなければわからないことも多い。始める前の私にはもっとわからないことが多いので、池田学芸員や先生方の進め方を見て自身も勉強しながら参加している。

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 エゾニワトコの蕾。葉が出かかっているものもあり「これは何ですか?」と聞いてくる子も多い。「アイスクリームのスティックに使う木です」と言ったら、いきなり囓ろうとする子がいてびっくり。

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 フキノトウの雄花と雌花も紹介。たちまち何本もの花茎が折り採られてしまった。来週から継続観察する材料でもあるので、あんまりたくさん採らないように注意。でもみんな興味津々なんだなあと思った。

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 この葉がゴボウと知って、みんなびっくり。ちゃんと根は食べられると聞いて、またびっくりしている。もちろん、八百屋さんのゴボウほど食べる部分が多くないし、きっと硬いのだが。

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 意外に反応が無かったのがクロユリ。「帯広市の花」として植えつけたものもあり、みんな結構これがクロユリだって知っているのかも。

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 今日はオリエンテーションということで、半分は教室、半分は野外で実施した。今日の児童さんは4年生2クラス。みんな意外な程に興味を持っていて、チャイムが鳴って先生に移動を促されても、なかなか動こうとしない程であった。


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 帰り道にちょっとだけ立ち寄った大山緑地。乾燥化が著しい。乾燥地のトカチボウズは痛々しいな。


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 緑ヶ丘公園に比べるとアズマイチゲは出始めの個体が多い様子。しかし、既にエゾエンゴサクの花も見られたことから、フェノロジーは前後しているようだ。

 本当は大山緑地のフェロジーやフロラも作るべきなのだろうが、あれこれと手を広げてもデータがたいへんな事になるのと、ここは帯広畜産大学が水位計を設置して調査しており、学会発表もされていたので、大山緑地の、というより将来の「新十勝植物誌計画」用の標本を時節採集に来れば良いかなあと思っている。

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2011年4月14日 (木)

調査で出会う動物たち

 フロラ調査で歩いていると、いろいろな動物に出会う。一番多いのが鳥。次いで虫。そして哺乳類。ときにはカエルなどの両棲類や、カメやヘビなどの爬虫類にも出会う。もちろんヒトにも会う。鳥と虫の順番は、恐らくこれから暖かくなっていくと、次第に入れ替わっていくのだろう。

 今日も調査中、いろいろな動物たちに出会った。

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 クジャクチョウ。


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 ヒヨドリ。


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 エゾリス。


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 そしてシロクマである。

 緑ヶ丘公園内には、おびひろ動物園がある。調査ルートに動物園脇を通ることがあり、フェンス越しにシロクマ君とヤギさんに出会うのである。植物採集をしながらフェンス越しに歩いていると、檻の奥からシロクマ君がのっしのっしと歩いてきてくれ、よくこちらを眺めている。近くではヤギさんが鳴き始める。彼らとの出会いも、調査の楽しみのひとつになってきた。

 思うに、動物園も帯広百年記念館も同じ帯広市職員が担当しているため、私の着ている作業服が飼育係の方と同じであることが、シロクマ君の注意を惹いてしまうのだろう。とは言え、フェノロジー調査を兼ねているので数日おきに必ずここを通っているから、だんだん私そのものとも顔馴染みになってきたかもしれない。陽光に映える白い毛並みが美しい。

 おびひろ動物園は今月29日(金曜日・昭和の日)より開園。園内では現業の方々が開園準備に忙しくされている様子も見える。営業が始まったら、純粋にシロクマ君に会いに行きたい。と言っても、たぶん目に付いた園内の雑草も採集してしまうが。

おびひろ動物園のページ http://www.obihirozoo.jp/

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緑ヶ丘公園のフェノロジー4月14日

 今日は特に新しい開花は確認されなかった。と思ったら、帰ってから標本を同定したら、ヤナギが一種増えていた。たしかに今、ヤナギが各種満開なのである。

 どうにもこうにも、私はヤナギが苦手である。何度同定しても、なかなか覚えないのである。また、標本が同定できても、野外で見たときの判定に今ひとつ自信が持てない。と云う訳で、とにかく開花したヤナギは採集しまくり、標本にして同定することにしているから、同じ種の標本をいくつも採ってしまう。そのうち頭に入るのだが、翌年になるとまた忘れてしまう。どうもこれを繰り返している気がする。

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 緑南福祉センターの駐車場の周囲には、たくさんのヤナギが咲いていた。中でもひときわ目を引くエゾノバッコヤナギ雄株。黄色く大きな雄花序が満開だ。クジャクチョウが蜜を吸いに来ていた。


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 こちらは道立帯広美術館に植栽されているヒメツゲ。正面玄関横は開花した。

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 一方、児童会館との間の坂道沿い、つまり美術館建物の北側の個体はまだ蕾であった。

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 という訳で、開花個体と蕾個体の境目はどこだろうと、美術館の建物に沿って調べてみた。写真左側が美術館正面玄関。南にあたる。こちらの個体は開花している。写真右側が坂道側(児童会館側)。北にあたる。こちらの個体は全部蕾なのである。コーナーを境目として、陽当たりの関係で見事にフェノロジーが分かれていた。


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 正面玄関側はヒメツゲが開花しているだけでなく、植栽されているフクジュソウも花が終わって果実になっていた。やはりフェノロジーが早く進んでいるのである。


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 ちなみに道立帯広美術館は、展示更新のために今日から臨時休館していた。21日まで。
 22日(金)からは、特別展「無限迷宮 M,C.エッシャーの全貌」が始まる予定。あの、だまし絵のエッシャーである。ハウステンボス美術館・博物館所蔵の絵がやってくるそうだ。楽しみだなあ。

帯広美術館のページ http://www.dokyoi.pref.hokkaido.jp/hk-obimu/index1.html

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2011年4月13日 (水)

saveMLAKが始動した

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 東日本大震災で罹災した博物館や図書館などの情報は、震災直後より関係者がツイッタやメーリングリストを通じて情報を集約していた。私も、母校の卒業生達が動物園へ実習に行く時期でもあり、学生の安否確認の協力依頼が来たこともあって、各地の動物園や博物館の被災情報などを収集していた。

 こうした動きが少しずつ形となり、やがて館種ごとの情報集約サイトが立ち上がった。博物館はsavemuseumなどが動いていた。また、こうした情報連携にはさすが図書館の動きは早く、司書さんや図書館情報学研究者などのネットワークによって、活動的に動いていた。一方、史料ネットなどで従来より被災地域の歴史史料救出に取り組んでいた文書館関係も同様であった。

 最近になって、こうした動きがさらに一歩進む。博物館、図書館、文書館の、いわゆるMLAに、公民館を加えてMLAK連携によって、被災情報を集約しようという動きだ。これがsaveMLAKプロジェクトである。11日にプレスリリースが出され、現在、全国の有志によって、被災情報の集約と発信、さらには協力支援に関する依頼の集約、ボランティア派遣情報の集約などが取り組まれている。

 23日には東京で、「緊急討議 東日本大震災 被災支援とMLAK−いまわたしたちにできることは」も開催される。私は参加できないが、「いまわたしたちにできること」として、博物館人の一員として真剣に考え、行動していきたい。


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 saveMLAK - 博物館・美術館、図書館、文書館、公民館(MLAK)の被災・救援情報サイト、始動

東日本大震災を受け、博物館・美術館(Museum)、図書館(Library)、文書館(Archive)、公民館(Kominkan)(以下、MLAK)の関係者及び支援者では、上記各施設の被災情報・救援情報を集約した「saveMLAK - 博物館・美術館、図書館、文書館、公民館(MLAK)の被災・救援情報サイト」(以下、saveMLAK)を開設しました。情報の集約と集約した情報に基づく、円滑な支援の実施のために、本サイトの存在を広く周知したく、記事掲載等をお願い申し上げます。

 saveMLAK - 博物館・美術館、図書館、文書館、公民館(MLAK)の被災・救援情報サイト
 http://savemlak.jp/

saveMLAKは、東日本大震災で被害を受けた被災地域の文化・歴史を支え、地域の交流・学習・情報拠点としての役割を担ってきた博物館・美術館、図書館、文書館、公民館の被災・救援情報を集め、その情報を共有することを目的としたサイトです。現在は被災情報をおおむね集約し、現地が必要とする救援情報の集約を進めつつあります。すでに専門知識を有する多数のMLAK関係者及び支援者からボランティアの申し出を多数いただいており、現地とボランティアの適切なマッチングを図りながら、現
地の復興支援を進めてまいります。

しかし、ご存知のように被災地は依然として寸断され、現地で必要とする支援が明確でない状況にあります。saveMLAKでは、現地が必要とする支援の情報を積極的に収集・発信してまいりますので、報道各社はもとより個人の方々からの積極的な情報提供を歓迎いたします。

また、MLAKの施設と機能の復興と、それによる被災者・被災地の復興支援に携わるボランティアの申し出も引き続き受け付けてまいります。重ねてのお願いとなりますが、広くご周知いただけますと幸いです。

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なお、来る4月23日(土)には、学習院大学(目白)にて緊急討議「東日本大震災 被災支援とMLAK-いまわたしたちにできることは」を開催いたします。多くの方々にご参集いただきたく、あわせて広報
にご助力賜れますと幸いです。

【お問い合せ先】
saveMLAK パブリック・リレーションズ担当:岡本、山村、北岡
E-mail: pr@savemlak.jp
電話:070-5467-7032(岡本)
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2011年4月12日 (火)

緑ヶ丘公園のフェノロジー4月12日

 今日は緑ヶ丘公園の北部を歩く。この区域は芝生やグラウンドが多く、一見してあまり目立つ野草は無いのだが、その代わり雑草類に何か変わった種が出現する可能性がある。
 その前に、駐車場から児童会館へ通じる歩道脇のキバナノアマナを確認しに行く。昨日は蕾だったので今日は開いているのではないかと思ったのだが、予想通り開花していた。

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 葉が太い。ここにしか生えておらず、見るからに怪しいのだが、今後自然に広がっていくのではないかと思う。


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 十勝池岸の日本庭園風な場所には、アキタブキの近くにヤチブキ(エゾノリュウキンカ)が蕾を付けていた。


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 その横にはミズバショウ。10日には開花しているのを確認しているのだが、これも植栽だろう。問題は、これ採集しちゃって良いかなあということなのだが、他にも花が開きそうな個体が見られたので、もう少し待ってからにする。


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 花と緑のセンター近くに広がるトラック。ごく一部に雪の塊が見えるが、ほぼ完全に融けて、砂地の広々としたグラウンドになっている。初老の男性が何周もジョギングをしていた。

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 これは1月27日の様子。このように、ここは冬にはスケートリンクとなるのだ。この冬はじめてその光景を見たときには感動した。天然のスケートリンク!十勝の子供達は、こういうところでスケートを覚えていくのだなあと思った。

 さて、ここを取り囲んでいる築堤状の部分を歩く。築堤は芝生が吹き付けられているが、斜面の方位によっては退行して雑草が入り込んでいる。


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 ヒメスイバやクローバーに混じってミミナグサが株を作っていた。

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 株はよく見るのに花をなかなか見ないと思っていたのだが、ようやくここで花を発見。さっそく採集する。コハコベなどと違って、花弁の切れ込みが浅いのがわかる。

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 なんとなくオランダミミナグサだろうと思っていたのだが、いざ花が咲いているのを確認すると、ふつうのミミナグサだった。小花柄が蕚よりも長く、蕚も紫色がかっているのがミミナグサの特徴。


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 こちらも芝生の湿った箇所に紛れていたムシクサ。ゴマノハグサ科の白い蕾があるな、コテングクワガタかな?と思っていたのだが、よく見てみたらムシクサだった。

 このムシクサ、北海道ブルーリストに掲載の五十嵐博さん作製の分布図では、日高地方にしか記録が無い。たぶんもっと各地にあるのだろうが、標本が採集されていないのだろう。と云う訳で、きちんと記録としての証拠標本を採集すべきなのだが、花がイマイチなので、もう少し開花個体が増えてから採集することにし、今日は写真だけで留めておいたのだった。

http://bluelist.ies.hro.or.jp/db/detail.php?k=08&cd=365

 今日は歩いた距離も採集個体も少ない。公園北部の植物相が華やいでくるのは、もう少し後の季節かもしれないと思った。雑草がいろいろと出てきそうなので、南部の野草地区とはまた異なった楽しみがありそうである。

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2011年4月11日 (月)

高枝切りばさみ

 植物標本採集での必須アイテムのひとつ、高枝切りばさみ。
 買っちゃいましたよ今年はついに。札幌では北大総合博物館の備品を使っていたが、十勝入りしたのを機会に自分用を購入した。

 元来は庭木の剪定とか果実の収穫とかに用いる道具だが、自然史研究においても木本の花葉を採集する際に重宝させていただいている。が、そうは言っても延長たかだか3m程度である。ハンノキの高木層にワサワサと揺れる雄花序を、指をくわえて見上げているといったケースも少なくない。

 緑ヶ丘公園のエゾノバッコヤナギは、1週間ほど前に開花を確認していた。ただ、咲いている部位が高すぎで高枝切りばさみでも届かなかった。幸い、下枝に未だ蕾の花序が多数確認できたので、届きそうな高さの花が咲いたら採集しようと機会をうかがっていた。

 ところが・・・。

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 手の届く高さの花が、ことごとく振り落とされている。犯人はヒヨドリの一群。近づいてきた私の足音でバタバタと飛び立っていった。

 無惨である。花が咲く端から集まってはついばみ、花序を落として行ってしまう。もっと高い位置にたくさん咲いているのに、わざわざ低位置の枝に集うところに、なにやら悪意を感じてしまう。学問の自由への挑戦か?これでは手に届く高さの花を・・・などという訳にはいかないではないか。

 幸い、公園内の別の場所からエゾノバッコヤナギを採集。フロラ調査の証拠標本としては形になったが、いつもそう代替がきくとは限らない。うーん・・・。

 かつて後輩がヤマナラシの採集のために、高さ12m程の測桿の先端に鎌を取り付けたという秘密兵器を用いていた。たしか羊ヶ丘の森林総合研究所からお借りしていたのだと思う。そうした代替用具を早急に考案しなければならない。測桿なんて無いから、連竿か?ベトナム戦争のゲリラ戦じゃあるまいし、まさか最初から伸ばしっぱなしの竹竿に鎌などを付けて歩く訳にはいかない。うーん、悩ましい。

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2011年4月10日 (日)

緑ヶ丘公園のフェノロジー4月10日

 他の仕事が忙しかったり天候が悪かったりとタイミングが合わず、きとんと緑ヶ丘公園を歩いたのは久しぶりな感じになってしまった。しかも今日は午後から2時間ほどの歩き。種類によっては陽が傾くと花がしぼんで来てしまうので、本当は午前中から昼にかけて歩くのが良い。しかし、少しでも歩いただけあって、フェノロジーの変化をとらえることができた。

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 アオイスミレ。カラマツ林の林床に、落葉に埋もれるようにして、小さな小さな花を咲かせていた。


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 何枚も撮ったのだが、残念ながら写真だと色がよくわからなくなった。これは同一個体の2つの花を撮影したもので、右花は白色、左花は薄紫色である。梅沢俊氏の『新北海道の花』でアオイスミレは青花のページに掲載され、本文中に「白花も多い」との記述があるが、こうして同一個体から異なる色の花が伸びているのを見ると、やはり花の色というのは変異で出やすいものなのだなあと思う。


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 こちらは既に開花記録をとったイヌナズナ。思ったほど花茎が伸びていなかったが、花はどんどん咲いてきているので、ようやく標本を採集した。

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 少し拡大。蕚片上部にある長毛が見えている。わかりますか?
 ところでイヌナズナ。ただの雑草と思っていたが、Flora of Hokkaidoの分布図を見ると、意外に道内の分布は限られている模様。まあ、十勝ではたくさん確認されているようだが、実は緑ヶ丘公園内でも生育している場所は限定されており、興味深い。

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 これも以前から気にしていたヤナギ。咲いたと思ったら雌花だった。同定の結果、オノエヤナギに。ウツベツ川に沿って、多数のヤナギが生育している。まだ開いていない花も多いが、本日採集した開花個体のヤナギを帰ってから同定した結果、以下の3種を確認。
・オノエヤナギ
・エゾノバッコヤナギ
・エゾヤナギ(コエゾヤナギ?)
 久しぶりにヤナギの同定をしたが、やはりなかなか難しい。上記のうち、エゾヤナギと思われる花では、苞に腺が確認できなかったのでコエゾヤナギか?と思ったものだが、開花途中の個体だったため、満開のときに再度確認する必要があるかもしれない。


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 アズマイチゲの開花は一段落した模様で、今では後から伸びてきた葉が大きくなり、林床を埋めている。その陰で、早くも夏の花であるトリカブトの葉が随所で生長してきていた。

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2011年4月 9日 (土)

カエル講座はじまる

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 連続講座「カエルはみんなの先生だ!」が始まった。池田学芸員の担当講座に、今年から私も加わることになった。この講座では、みんなで帯広市緑ヶ丘公園のエゾアカガエルについて調べ、わかったことを記録に残していくという「調査」の経験を通じ、カエルから何かを学んでいこうというもの。参加者は小学生から大人まで。大人に付き添われた未就学児童も許可を得て参加している。


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 調査内容は、カエルの数を数えること。今日は卵塊の数を数えた。まずは卵が産まれている場所を探すことから始まる。緑ヶ丘公園の中の池を巡り、卵はないかなーと探す。


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 卵がみつかったら、「ルッキング」というのだそうだが、まずは外から見た目でいくつの卵塊があるかを記録する。次いで、実際に卵をすくいとり、タッパやバットへ移して、正確に数えてみる。1回で産まれる卵塊が1塊になっているので、触ってみることで、見た目いっしょに見える卵塊がいくつかに分かれることがわかるのである。


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 カエルそのものがいないかも調査。みんなで池の中をのぞいたり、すくってみたり。自然を調べるときには、手を汚すことを怖れないことが大事だということを経験する。


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 捕獲されたエゾアカガエルの性別、体長、体重を記録する。カエルの計測方法の実習を兼ねている。


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 この調査では、単に「見た」というだけでなく、調査結果を「記録する」ということの重要性も強調している。データを残す、データを集計して考える。そうした自然史研究の基礎を体に身につけるのである。
 昨年の参加者で作った調査用紙の「使い心地」を自分たちで試してみているところ。


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 大人は子供に、未経験者は経験者に、それぞれが教えあったり協力しあって、調査を進めていく。活動に自主性が産まれ、調査の継続性も保たれていく。
 今年度第1回目の調査は、時間をオーバーしながらも無事終了。昨年度に比べ、かなり大量の卵塊が確認できたそうである。今後の調査が楽しみだ。

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ロビー展「五月人形」を開始

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 本日9日(土)より、帯広百年記念館ではロビー展「五月人形展」が始まる。6日(水)には、収蔵庫から出した五月人形の設置を行った。

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 ひな人形に比べると、ひとつひとつのパーツが大きいので、比較的簡単。ところが、必然的に全体が大きくなるので、展示台にアクリルの透明ケースをかぶせる作業が大変である。4人がかりで慎重にかぶせようとするのだが、なんどかつまずいてしまう。

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 どうも私は人形というものにあまり興味が無かったので詳しく無いのだが、鍾馗様(しょうきさま:写真右)は中国の道教の神。かつて皇帝の病を治癒したという伝承から厄除け、魔除けの神とされると共に、学業成就の神ともされる。こうしたことから、健康で学業にいそしむ願いが込められて、恐らく端午の節句に日本でも飾られるのであろう。

 ところで、鍾馗様はかつて、当時の上級国家公務員登用試験である「科挙」を受験して失敗したという伝承がある。そもそも、科挙に失敗したのを恥じて宮廷内で自殺したところ、時の皇帝が手厚く葬ってくれたので、後代の皇帝が病に伏せた際、恩返しに治癒をした、というのが正解らしい。
 そうだとすれば、鍾馗様が学業成就の神様とされているのは、いささか懸念がある。むしろ「奉公」の精神が強調されているのかもしれない。あるいは、科挙を受験するためには猛勉強が必要だったことは間違いなく、試験の結果如何に問わず、勉強することの重要性を説いているのかも知れない。

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 壁面には鯉のぼりを設置。最上段に吹き流し、次が黒い真鯉。その下が赤い緋鯉である。鯉のぼりの風習は五月人形に比べると新しく、かつては吹き流しのみ。当時は鯉を描いた幟が立てられていたらしい。やがて吹き流し形に鯉を染めた現在のスタイルの真鯉の鯉のぼりが登場し、緋鯉などがセットになった現在の形式になったのは明治時代と言われる。


 ロビー展「五月人形展」は、本日より5月8日(日)まで。ロビー展は入場無料。連休中は、帯広百年記念館、そして緑ヶ丘公園へ、ぜひお立ち寄り下さい。

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2011年4月 5日 (火)

緑ヶ丘公園のフェノロジー4月5日

 帯広百年記念館は帯広市の緑ヶ丘公園の中にある。この公園には百年記念館の他、北海道立帯広美術館、動物園、児童会館、花と緑のセンターと云った施設が建ち並び、旧十勝監獄の史跡や十勝池というボートの浮かぶ本格的な遊園池、400mベンチという常識外れに長いベンチが置かれた、グリーンパークという広大な芝生などなど、各種の社会教育・生涯学習施設が揃っている。
 これまで、この公園内の生物調査については、児童会館の管轄である野草園についての植物目録が数回まとめられている。最近でも、帯広畜産大学の宍戸理絵さんらがまとめ、帯広畜産大学学術研究報告に発表されると共に、その証拠標本が百年記念館に収蔵された。標本は現在、整理中である。

帯広市野草園植物目録(帯広畜産大学学術研究報告 vol.30 pp.24-43.)

 野草園以外の植物相については、現在までにまとまった報告は無い。断片的に公園案内のリーフレットなどに植物写真などが掲載されているのみである。そこで、今年の業務として、野草園以外の緑ヶ丘公園の植物相調査を実施し、フロラリスト(植物目録)の作製と証拠標本の収集およびフェノロジー観測をしようと始めたのがこの調査で、毎日午前中はほぼ園内を徘徊し、植物採集にいそしんでいるのである。

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 動物園南門の前から下ってくる坂道の土手。その歩道脇に、セイヨウタンポポが開花していた。セイヨウタンポポは以前、公園内の通称「ひなた川」沿いで、刈り込まれたロゼットから花が開いているものを確認していたが、あれは特殊な事例なので、公式記録としては今日の方が良いかも知れない。

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 採集のためにセイヨウタンポポを掘り上げたら、たくさんのワラジムシが出てきた。これも今年の初認である。


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 アズマイチゲが開花。花の咲き具合から、早い個体は昨日咲いていたのかも知れない。しかし、ほとんどがまだ起き上がり始めたばかり。なので、今日は記録にとどめてまだ採集しなかった。

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 落ち葉の間から、ゆっくりと立ち上がってくる。


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 もっと早く出会えるかと思っていたが、ようやく出会えたザゼンソウ。湿地域の雪解けが遅かったからかもしれない。これからどんどん出てくるみたいなので、今日は記録だけで採集しなかった。


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 歩いていると、落ち葉の上に黄色い葯を付けたヤナギの雄花が落ちていた。慌てて見上げると…。

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 エゾノバッコヤナギが開花している。ただ、高すぎて採集できない。よく見ると下枝にも花芽があり今後展開してきそうなので、とりあえず同定用に落ちている花を集め、標本用には下枝の開花をじっくり待つ作戦に。
 それにしても、他の場所のヤナギはまだ開花していなかったのだが。今日は昼頃に気温がグングン上がっているので、ひょっとしたら南中時刻頃になって開いたのかも知れない。明日も要注意である。


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 園内で開花個体群が日に日に増えているフクジュソウ。

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 フクジュソウに集まる虫の数も日に日に増えている感じがする。そう言えば、蛾や蝶も飛んでいるのを見た。


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 林内の池の氷もほぼ融けた。周辺にはエゾエンゴサクの葉の姿も見えてきている。春植物やヤナギが本格的に咲いてくると、フェノロジー観測も標本採集も、にわかに忙しくなってくるはずである。

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2011年4月 3日 (日)

美術品国家補償法と海外美術品等公開促進法

 「展覧会における美術品損害の補償に関する法律」、通称「美術品国家補償法」が29日、全会一致で衆議院を通過。昨年10月に提出された後、衆議院審議で若干の修正が行われたものが25日に参議院で修正可決されていたものである。4月1日施行予定であったが、「公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日」と改められ、同時に関連規程も整備される方向である。
 この法律については、美術関係者の中で永年の懸案であったようである。この法律が対象といている展覧会の規模などがまだ明確でないが、比較的大規模な展覧会を想定しているらしいことは容易にうかがえる。今回の震災における経験も踏まえ、今後、中小規模の展覧会における補償策をどのようにはかっていくかについても検討が必要であろう。
 美術史など関係方面の方のブログにも、当法案に対するコメントが見られる(「名古屋芸大西洋美術史研究室byくり太」さんのページ)。なにはともあれ今後、この法律をどう活かしていくか、私たち美術館以外の博物館関係者も注目していく必要があるだろう。

展覧会における美術品損害の補償に関する法律


 国会は、この他に「海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律」、通称「海外美術品等公開促進法」を審議し、3月25日の参議院本会議を全会一致で通過させている。この法律案には「国は、海外の美術品等に関する専門的知識を有する学芸員等の養成及びその資質の向上、民間団体が海外の美術品等の公開に関して行う活動に対する情報提供等の支援その他の必要な施策を講ずるものとする」とする条項もある。もともと美術系の学芸員には、海外に美術品に関する専門的知識が必要だったと思うが、法律で学芸員養成の面から特段の言及がはかられたことが興味深い。今後、具体的な条件整備がどのようにはかられていくのか注視しよう。

海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律

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北海道立帯広美術館(3月13日撮影)

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2011年4月 2日 (土)

緑ヶ丘公園のフェノロジー4月2日

 ヤナギやハルニレの花芽が膨らんできているが、ここへ来て樹木の開花は足踏み状態が続いている。反面、草本、特に雑草の開花が立て続けに起きている。

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 おびひろ動物園入り口の駐車場にある法面。ここがちょっとした雑草の開花ラッシュになっていた。

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 コハコベが満開。前回、緑ヶ丘墓地のあたりでも開花を確認していたが、採集していなかったので、ここで採る。

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 イネ科も咲き始める。これはちょっと無理矢理の感じがあるがナガハグサ。

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 ちょっとまだ早い感じなので採集はしなかった。イヌナズナと思われる。

 次いで、帯広百年記念館の玄関脇ではこんなものが。

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 ゴマノハグサ科のトキワハゼ。ムラサキサギゴケかと思って採集したが、よく確認したらトキワハゼだった。

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 こちらは採集後の写真。アライトツメクサ。

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 アライトツメクサ拡大写真。本当は圧す前に写真撮れば良かったのだが、時間が無くて仮圧しした後に撮影したら、よくわからない写真になってしまった。花柱、蕚片が4枚。花弁は無いことも多いが、今回の個体では小さな花弁が確認できる。


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 このテの小さな草は、その場で圧してしまった方が良い標本ができる。しかも、野冊を使うよりも本に挟む方が、ピッタリと圧せて良い。厚紙の表紙で出来た薬品メーカーのカタログなどが良いが、そんなものを持ち歩くのは大変なので、雑誌が使われる。私は時刻表を使っている。

 スジ屋さんの思いの詰まった神聖な時刻表をこんな事に使うのは、実はとても気がひける。敬愛する故宮脇俊三氏などには、ものすごく怒られそうな気もする(レールウェイ・ライターの種村直樹氏は、旅行中に鼻紙に使ったことがあるというエピソードがあるから怒らないだろう)。しかし、少なくとも日本の健全な鉄道ファンの家には、時刻表がゴロゴロと転がっているはずである。これを植物研究にも使う。鉄道の好きな植物研究家(またはその逆)には、結構存在するのではないか?

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 但し、あまり古い時刻表を使うと、植物を挟みつつも、ついつい本文に目が行ってしまう。廃止路線や列車などがあると「そう言えばこんなのがあったよなあ」などと、採集そっちのけで読み耽ってしまいがちである。しまいには「資料として大事だから、きれいにとっておこう」などと、ここまで持って来ておきながら使わずに帰って来るという、まことに馬鹿馬鹿しい事態に陥ることもあるから注意が必要である。
 今回は「東北新幹線延伸開業」の表題が輝かしい、昨年末の12月号。いわゆる記念号なので、ちょっと躊躇したが、無事に使うことができた。


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 その他、アキタブキも今日採集。八千代通りの法面で。

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 ウツベツ川沿いの水たまりでは、エゾアカガエルが大合唱。産卵も盛んにしている模様である。近づくと動きをピタッと止めるのが面白い。赤矢印がカエル、黄色矢印は卵塊。


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2011年4月 1日 (金)

カモが戻ってきた

 今日から新年度。新年度草々、今日は休みだったが、カエルの産卵が相次いでいるので、午前中にカエル講座の中学生B君と一緒に、緑ヶ丘公園内の「ひなた川」へ。昨日に続き、やはり新産卵があった模様。昨日確認した卵塊は既に食害にあったりして死んできており、新鮮な卵塊のみを採集して百年記念館へ運ぶ。卵塊は洗浄して記念館で保管した。洗浄後のプラナリアなどは川へ戻した。

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産卵が続いている緑ヶ丘公園の川

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これらの卵塊からどのくらいのオタマジャクシが出てくるのだろう?

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 十勝池はまだ氷が張っているが、周縁部が少しずつ融けてきている。今日、今季初めてのカモが飛来した。狭い開水面で泳いだり、氷の上を歩いたりしている。マガモとカルガモ、12羽以上はいるみたいだった。カモが戻ってきたのだ。

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 いよいよ新年度。今年は帯広・十勝のフロラ調査をしっかりやろうと思う。たくさん標本を作って、充実したハーバリウムを作っていこう。

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